第22章 予期せぬ再開
そろそろ1時間経つ頃に、四人はフローリッシュ・アンド・ブロッツ書店へ向かった。しかし書店に近付けば近付くほど人は増え、書店の前まで来ると、人が山のようにごった返していた。
「うわっ…」
ミラが顔を顰めて、嫌そうに呟いた。
一体何事だろうかと、四人が書店の上階の窓にかかった横断幕を見つけて、全ての理由がわかった。
そこにはギルデロイ・ロックハートのサイン会、『私はマジックだ』と、書かれていた。
「本物の彼に会えるわ!」
ハーマイオニーが甲高い声をあげて、三人は顰めた顔でハーマイオニーを見ていた。
「だって、彼って、リストにある教科書をほとんど全部書いてるじゃない!」
「ゴミの間違いだろ」
ミラは心底嫌そうにごった返している店内を見てこっそり唸った。店内の客はモリーと同じくらいの歳の魔女がほとんどだった。長い列は店の奥まで続いていて、その人垣に押されながら、四人は急いで『泣き妖怪(バンシー)との休日』を一冊ずつ掴んで、ウィーズリー一家と、グレンジャー夫妻が並んでいるところにこっそり入り込んだ。
「まぁ、よかった。来たのね----もうすぐ彼に会えるわ」
何度も髪を撫で付け、息を弾ませたモリーを、ロンが複雑な顔をしていて、ミラは同情の目を向けた。
ギルデロイ・ロックハートの姿がだんだん見えてくると、座っている机のまわりには、自分自身の大きな写真がぐるりと貼られているのが見えた。人垣に向かってその写真がいっせいにウインクし、輝くような白い歯を見せびらかしていて、ミラは気持ち悪さで目眩を起こしそうだった。
本物のロックハートは、波打つ髪の毛に、魔法使いの三角帽を小粋な角度で被っていて、瞳の色にぴったりの忘れな草色の青い上衣を着ていた。
その周りを大きな黒いカメラで写真を撮っている小男が踊るように動き回っていた。目が眩むようなフラッシュを焚くたびに、紫色の煙が上がっていた。
「そこ、どいて。『日刊予言者新聞』だから」
「それがどうしたって言うんだ」
と、後ずさってロンの足を踏んづけたカメラマンは低く唸るように言った。まだ後ろに下がろうとするカメラマンの後ろ足に、ミラはこっそり足をかけた。