第22章 予期せぬ再開
ジッとルシウスに顔を見られているような気がして、居心地のわるさを感じていると、ルシウスのもう一つの空いた手が顔に伸びてくるのがわかった。顔に触れそうになった直前、ミラはバシッと勢いよくその手を払った。
凍えるような冷たいアメジストの目が、ルシウスを静かに睨みあげた。
「父上」
様子のおかしいルシウスとミラの間に、ドラコが割り込んで入った。
「こんな奴に構わず、早く箒を見に行きたいんだけど…」
割って入ったものの、ドラコの言葉は小さくなっていった。ドラコのドギマギした様子を後ろから見ていたミラは、もう一度ルシウスに視線戻した。
「----そうだったな」
そう言って、やっとルシウスはミラの手首を離した。
「その通りにはいかないことを忠告しておこう…いくぞ、ドラコ」
マントを翻して、ルシウスは歩いて行ってしまった。ドラコは後ろにいるミラに振り返った。
「父上に何かしたのか?」
「何もしてない、見てただろ!?」
「どうだか」
フンと、鼻を鳴らしてドラコは先に歩いて行ったルシウスの元へ駆け足で言ってしまった。
「やっぱりムカつく」
アーサーにチクってやろうかと、ミラは人混みに紛れる二つのプラチナブロンドの頭を嫌そうに、無くなるまで見ていた。
癪だがミラはルシウスの忠告通り、闇の夜横丁には足を踏み入れず、きた道を戻ることにした。もしかしたらロンたちが先にハリーを見つけているかも知れないと思ったからだ。
その途中で見かけた箒屋の店に、ドラコとルシウスがいるのを見つけてミラは顔を顰めた。ドラコは一本の黒い箒を嬉しそうに握りしめていて、ルシウスもそんな喜ぶ息子に満足しているのか、微笑んでいるようにも見えた。
嫌なものを見たと、ミラはそのまま箒屋を通り過ぎた。
どこにでもある、ありきたりな家族の幸せの風景が、ミラには理解ができなかった。それはウィーズリー家にいる時もそうで、遠慮もあるが、時々自分に優しく接してくれるモリーに、ミラは正直どうしていいかわからないことが多い。
唯一家族と思っているハリーを早く見つけようと、ミラはまた走り出した。今度は誰にもぶつからないように。