第22章 予期せぬ再開
実際ミラはワクワクしていた。少し緊張はするものの、初めて見る魔法界の物には興味が沸いてしまう。ハリーの返事を聞く前に、ミラは鉢から煙突飛行粉を摘むと、暖炉の前に立った。
「はっきり発音するのよ」
「あとモゾモゾ動かないこと、どっか他の暖炉に行くかもしれない」
モリーとロンがミラの背中に言葉を投げかけ、ミラは振り返って一度ウィンクをして粉を暖炉の炎に投げ入れた。炎は鮮やかなエメラルドグリーンに変わり、ミラは大きく息を吸って炎の中に進んだ。
炎は暖かいその風のようで、燃えているのに不思議な感覚だった。
『ダイアゴン横丁!』
大きな穴に落ちていくような感覚だった。うっすらと目を開けてみると、いくつもの暖炉の前を通り過ぎていき、とてもじゃないが目で追えるものではなかった。しかしあっという間に着いてしまったのか、足が地面に着いた感覚が戻っていた。ミラはハッとすると、もうエメラルドの炎はどこにもなかった。
「こっちだよ、ミラ」
「やっぱり君が先に来たか」
先に行っていたフレッドとジョージが暖炉の前にいた。二人に片方ずつ手を差し出され、ミラは迷わず二人の手を取った。
「初めての『煙突飛行粉』はどうだった?」
「思ったより簡単」
「そう言うと思った」
次はハリーだろうと、三人は空っぽになった暖炉を眺めていた。少し遅いなと感じていると、エメラルドグリーンの炎が立ち上がった。しかし、中から出てきたのはハリーではなく、ロンだった。
「ハリーは?」
「大変だよ!ハリーが発音を間違ってどっかに行っちゃった!」
「そりゃ大変だ…遠くに行ってないといいんだが」
「ハリーはなんて言ってた?」
「えーっと…『ダイ、ゴン横丁』とか言ってたと思う」
全く検討が付かないが、ミラはまたハリーがトラブルに巻き込まれるんじゃないかと思うと、アーサー、モリーとジニー、パーシーなど待っていられるはずもなく、外へ飛び出していった。
「あ、ミラ!待つんだ!!」
ロンの静止の声がミラには届くことなく、ミラはダイアゴン横丁を血眼でハリーを探し始めた。