第22章 予期せぬ再開
水曜日の朝早く、モリーはみんなを起こした。用意されていたベーコンのサンドイッチを、ミラはなんとか4個お腹に詰め込んだ。
色褪せたカーキ色のコートを着ると、みんなが暖炉の前に集まっていた。モリーが暖炉の上に置かれた植木鉢を取り上げて覗き込むと、ため息を着いた。
「アーサー、だいぶ少なくなっているわ」
「なら今日買い足しておかないとね----さーて、お客様から!ハリー、お先にどうぞ!」
モリーに植木鉢を向けられたハリーは、困惑してミラを見た。ミラも首を傾げて、植木鉢に入った砂を訝しげに見た。
「母さん、ハリーとミラは『煙突飛行粉』を使ったことがないんだ!ごめん、僕忘れてた…」
「一度も…?」
ロンが思い出したように言うと、アーサーは驚いたようにハリーとミラに尋ねた。すると、アーサーは去年ハリーとミラがどうやってダイアゴン横丁まで学用品を買いに行ったのか興味を示した。
「地下鉄です」と、ハリーが言うと、アーサーは興味深そうに「ほう」身体を乗り出した。ミラはこの一週間、暇があればハリーと共にアーサーからマグルの暮らしがどうなっているのか質問攻めにされたので、こっそりロンの後ろに姿を隠した。
「エスカペーターとかがあるのかね?それはどうやって----」
「その話は後にして、アーサー」
しかし、アーサーのスイッチが入る前に、モリーがピシャリと遮った。
「ハリー、ミラ、煙突飛行を使えば、どこへでも早く着くことができるのよ…でも一度も使ったことがないなんて…」
「大丈夫だよ、母さん。僕たちのを見てて」
と、フレッドが鉢からキラキラ光る粉をひとつまみ取り出すと、火の着いている暖炉の前に立った。炎に粉を振りかけると、ゴーっという音と共にエメラルドグリーンの色に変わった。
フレッドの背丈よりも高い火柱に、フレッドは躊躇なく足を踏み入れた。
「ダイアゴン横丁!」
と、叫ぶと、フレッドの姿が一瞬で消えてなくなった。
「二人とも、はっきりと発音しないとダメよ!」
モリーの注意を聞きつつ、次はジョージが暖炉の中へ消えていった。
そしてついにハリーの番となると、ミラは心配になり、ハリーの肩に手を置いた。
「面白そうだから、私に先に行かせて」