第20章 隠れ穴にご招待
モリーは嬉しそうに写真にニッコリと笑いかけた。
「母さんったら、彼にお熱なんだよ」
フレッドがわざと大きな声で、みんなに聞こえるように言った。
「フレッド、馬鹿なことを言うもんじゃないわよ」
頬を赤らめて言うモリーに、説得力はなかった。
「いいでしょう。ロックハートよりよく知っていると言うのなら、庭に出て、お手並みを見せていただきましょうか。あとで私が点検に行ったときに、ノームが一匹でも残ってたら、そのとき後悔しても知りませんよ」
欠伸をして、ぶつくさ言いながら、ウィーズリー三兄弟はだらだらと外へと出て行った。ハリーはその後に素早く着いていった。ミラも続こうとすると、モリーにしっかり腕を掴まれ、「あなたはこっち」と、リビングのソファーに座らされてしまった。
「腫れに効く薬はどこだったかしら」と、モリーは薬棚らしきところを探しながら、手にとって確認した。そして目的のものが見つかると、すぐにミラの元へ戻ってきた。
「少しヒンヤリするけれど、時間が経てば大丈夫よ」
腫れた頬に黄緑色の薬を塗られている間、ミラは黙ってされるがままになっていた。
「こんな可愛らしい顔をしているのに…痛かったでしょう」
「いえ…別に…」
モリーは悲しげにミラの頬に薬を塗りながら言った。どう答えていいかわからないミラは、モリーと目が合わないように逸らしていた。
「ノームはあの子たちに任せましょう----そうだわ、あなたも彼の本を読んでみる?気にいると思うわ!」
「いえ、別に…」
ミラの断りの言葉も届かず、モリーはウキウキとロックハートの本を取り出しに行くと、すぐに戻ってきた。モリーのロックハート語りに適度に相槌を打っていたが、全く話の内容は頭に入ってこない。
すっかり逃げるタイミングを逃してしまったと、ミラの眉間に皺が少し寄りかけた時、「ただいま」と、疲れた声の挨拶が玄関から入ってきた。