第20章 隠れ穴にご招待
そんな時、みんなの気を逸らしてくれる存在が現れた。
「キャッ」
と、小さな悲鳴を上げて走り去っていった。ネグリジェ姿の小さな赤毛の女の子は、キングスクロス駅で出会ったジニーだった。
「ジニーだ。僕の妹、夏休み中君のことばっかり話してたよ」
と、ロンがハリーを見ながら小さな声で教えてくれた。
「きっとハリーのサインを欲しがるぜ」
フレッドがニヤニヤしながら言うと、モリーの鋭い視線を感じて、また黙々と朝食を食べ始めた。ミラはニヤニヤとハリーを見ると、ハリーはミラが何を言いたいのかすぐにわかり、朝食に集中するようにしてミラを見ないようにした。
五つのお皿が空っぽになるには、そんな時間はかからなかった。ジョージが疲れ様子で寝室へ行こうとすると、モリーはそうはさせなかった。
「駄目よ、ジョージ。夜中中起きていたのが悪いんです---お前たち二人もです。今からノーム(庭小人)の駆除をしてきてちょうだい。また増えて手に負えないのよ」
「えー…母さん」
モリーは三人を鋭く睨み付けると、三人は黙り込んだ。
「ハリー、あなたは上に行って、おやすみなさいな。ミラ、あなたは少しここに残って。その腫れをどうにかしないと」
「僕、ロンの手伝いをします----ノームを駆除するところなんて、今まで見たことがないので----」
「まぁ、優しい子ね。でも、つまらない仕事よ----そうだわ、ロックハートがどんなことを書いているか見てみましょう!」
モリーはパッと花が咲いたように顔を明るくすると、暖炉の上の本の山から、一際分厚い本を取り出してきた。
「母さん、僕たちノームの駆除くらいできるよ」
ジョージが嫌そうに、モリーが持っている本を見て唸った。本の背表紙には、豪華な金文字で大きく『ギルデロイ・ロックハートのガイドブック:一般家庭の害虫』と、書かれていた。
表紙には大きな写真があり、波打つブロンドの髪の毛、輝くブルーの瞳のとてもハンサムな魔法使いが、悪戯っぽくハリーとミラにウィンクを投げかけてきた。ミラは顔を引き攣らせてその本を見た。