第20章 隠れ穴にご招待
モリーに着いていくと、ハリーとミラは初めて魔法使いの家を訪れた。台所は小さくて、かなり狭苦しいものだった。しっかり洗い込まれた木のテーブルと椅子が、その真ん中に置かれていた。ハリーが端っこの椅子に座ると、ミラもその隣に座って、部屋の中を見渡した。
部屋にはマグルの世界では見ないような、変わったものがあった。数字のない時計には『お茶を入れる時間』、『鶏に餌をやる時間』などが書き込まれてあった。
暖炉の上に置かれた本は『お菓子を作る楽しい呪文』など、料理の本が三冊積まれていた。流しの脇に置かれた古ぼけたラジオからは放送が聞こえる。
ハリーとミラが興味津々で部屋の中を見渡している間にも、モリーはあちこちガチャガチャ言わせながら、行ったり来たりを繰り返しながら朝食を作っていた。
時々低い声で「お前たちときたら、いったい何を考えてるやら」とか、「こんなこと、絶対思ってもみなかったわ」と、ぶつぶつ言っていた。
「あなたたちのことは責めてませんよ」
と、モリーはフライパンを持って、ハリーとミラの空いたお皿にソーセージを滑り込ませながら、念を押した。
「とても心配していたの、私もアーサーも----夕べも、金曜日までにあなたからロンへの返事が来なかったら、私たちがあなたを迎えに行こうって話をしていたくらいよ」
次に目玉焼きが三つずつ、お皿の中に入り込んだ。
「----なのに、この子達ったら不正使用の車を使って国中の空の半分まで飛ぶなんて----誰かに見られてもおかしくなかった」
「曇り空だったよ、母さん!」と、フレッドが言った。
「物を食べてるときはお喋りしないこと!」
「母さん、連中はハリーを餓死させるところだったんだよ!」
と、次にジョージが言った。
「お前もお黙り!」
と、モリーは怒鳴った様子を見ていると、よっぽど子供達が心配だったのだとミラは理解した。ただ怒鳴り散らしているわけではない、あのミス・メアリーのように。
モリーがハリーとミラのためにパンを切って、バターを塗るころになると、表情が大分優しくなってきた。