第20章 隠れ穴にご招待
「ドラコ・マルフォイだって?ルシウス・マルフォイの息子の?」
ジョージが振り向いてハリーとロンを見た。
「多分、ザラにある名前じゃない----どうして?」
と、ハリーがジョージに聞き返した。
「父さんがそいつのこと話してるのを聞いたことがある。『例のあの人』の大の信奉者だったって」
「ところが、『例のあの人』が消えたとなると」
と、今度はフレッドが前の席から首を伸ばして、ハリーに振り返りながら話しだした。
「ルシウス・マルフォイときたら、戻って来るなり、すべて本心じゃなかったって言ったそうだ----嘘さ、父さんはやつが『例のあの人』の腹心の部下だったと思ってる」
ハリーもミラも一度、ロンからその話を聞いたことがあり、驚きはしなかった。特にハリーはドラコ・マルフォイを見ていると、親戚のあのダドリーがまだ思いやりのある少年だと思うくらいだ。
ミラは少し違った。何度も嫌なところは見てきたが、謝ってくれたこと、魔法で失ってしまった髪を気にしてブラシを送ってきたこともあり、もしかしたらそこまで悪い少年ではないのかもしれない…と思ったこともあった。
しかしドラコがハリーに対して異常に嫌がらせをしてくるので、フォローもできなかった。
屋敷しもべ妖精は、大きな館、お城、魔法族の旧家、特にお金持ちが所有しているとのことだった。ロンの家にいるのは、やかましいグールという屋根裏お化けと、庭に救っているノーム(庭小人)がいることがわかった。
ロンの家に着く前に、ロンのお父さんが『マグル製品不正使用取締局』という魔法省で務めていることがわかった。ロン曰く、一番つまらない部署らしい。
そして監督生のパーシーが最近部屋にこもって怪しいとフレッドとジョージが言っていた。
「パーシーのやつ、この夏休みの行動がどうも変だ」
と、ジョージが眉をひそめて言った。
「実際、山ほど手紙を出してる。それに、部屋に閉じ籠もってる時間も半端じゃない----考えてもみろよ、監督生の銀バッジを磨くったって、限度があるだろ」
ジョージに見つめられて、ハリーとミラは頷いた。
「大通りが見えてきたぜ、ジョージ」
「あと十分くらいだ----よかった、もう夜が開けてきたし」
東の地平線がほんのりピンク色に染まっていた。