第20章 隠れ穴にご招待
車に寄り添うように、ミラのノクチュアと、ハリーのヘドウィグが中良さげに飛んでいた。二羽は久々の再会を喜んでいるのか、楽しそうに車の周りを飛んだり、何か話しているのか、鳴き声が時々聞こえた。
「ミラ、血が…それに顔が腫れてる----」
ハリーが悲しげにミラの赤く腫れた左側の頬を見ていた。ロン、双子のフレッドとジョージも、まさかの再会でミラの悲惨な顔を見るとは思ってもいなかっただろう。
「大丈夫、なんともないからこんなの…それよりハリーこそ…痩せ細ってる」
三日前に会った時は、お昼を抜かれて庭の掃除をしていたハリーだったが、まだマシに見えた様な気がした。
「君が家に乗り込もうとしたって聞いた…家を壊そうとしてたとか言ってたけど」
「…ああ!その手があった!なんであの時思い付かなかったんだ!そうすればハリーを助け出せたかもしれないのに!!」
ミラは悔しそうな顔をした。
「伯父さんに何もされなかった?」
「ううん、何も。押し返されただけ」
大丈夫だと微笑むミラに、ハリーは胸がチクリといたんだ。自分だけが辛い目に遭っていると思っていた。でも顔を腫らし、血が出ていたと思われる鼻、痛々しいのにミラはなんとでもなさそうにしているのが、余計にハリーを辛くさせた。
「----君が無事でよかった」
ハリーはミラを抱きしめると、ミラもハリーの背中に手を回した。
「いやぁ、ジョージ…俺はこんなに美しいものを今まで見たことがないよ」
「俺もさ、フレッド。見てるこっちがドキドキしてきた」
「ロニィ坊やもどうだい?後でお兄ちゃんがハグしてやるぞ」
「いいよ、別に…しなくていい」
嫌そうに顔を歪めたロンは、まだ抱き合っているハリーとミラを静かに見た。もし今夜助けにいかなかったら、二人はどうなっていたのだろうとロンは不安を感じた。本当に来てよかったと思った。