第17章 目覚め
禁じられた森でのこと。初めてドラコが謝罪の言葉をした時だった。あの時はロンのママが作ってくれたセーターの悪口が気に入らなくて、髪のことなんてどうでもよかった----本当に気にもしていなかったのだ。
しかし、ドラコは違ったのだろうか…。ミラは少しだけ、後悔した。あんな喧嘩腰じゃなくても、もう少し落ち着いて話せたかもしれないと思った。
(返してもドラコは使わなさそうだし----貰っとくか)
まだ梳かしていない部分に当てていくと、ミラはその良さに段々気がついていった。引っかからないといことは、本当に凄いことなのだとあたらめて思った。
(結構気にするタイプなんだな)
お見舞いの品としては少し変だと思いながらも、まぁいいかと、流すことにした。
・・・・・
次の日の朝、目が覚めて体を起こすと、どこにも痛みを感じなかった。ベッドを降りて、隣のベットを覗きにいくと、ハリーはまだスヤスヤと眠っていた。
マダム・ポンフリーから寮へ戻っていいと許しを得ると、ハーマイオニーとロンが丁度医務室へ訪ねてきた。ハーマイオニーはミラの着替えを持って来てくれており、ミラは寝ていた自分のベッドに戻り、カーテンであたりを囲って着替えた。
荷物は後で取りに来ることをマダム・ポンフリーに告げて、三人は大広間へ向かった。
「ハリーはまだ起きないの?」
「もうすぐ起きるだろうって、マダム・ポンフリーが言ってたけど…わたしが気絶なんかしなかったら…」
ミラははぁ、とため息をついた。追い付くと言った手前、気絶してしまい、助けに行くことすらできなかった。情けないとミラは後悔していた。
「駄目よ、ミラ!あなた、自分がどうなったか忘れたの?」
ハーマイオニーは少しヒステリー気味に叫んだ。
「わたしが駆けつけた時、わたしてっきりあなたが死んだのかもって----あんなボロボロになった体で助けに行くなんて、絶対駄目!」
「もう過去の話だし---」
「わたし、あなたから目を離さないわ!決めたもの!だってミラが怪我をしないで帰って来たことがあるかしら?」