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【HP】怪鳥の子

第17章 目覚め


「さすが素手で男と戦うだけはあるよな、トロールまでぶちのめすなんて」
「俺達いいとこ無しだよ、男なのに」

 ジョージはわざとらしくスンスンと鼻を鳴らして、泣き真似をした。

「もうトロールとは戦いたくないな…臭いが酷すぎる」

 思い出したくもないと、ミラは顔を顰めた。

「ミラ避けに、トロールの香水を作ってみるのはどうだ?」
「それはいいアイディアだフレッド!男の魅力がますます増すに違いない!」
「特にスリザリンには受けそうだ」

 ベッドの両脇で次の悪戯について、ああだこうだと話し始めたフレッドとジョージを、ミラは静かに聞いていた。しばらくすると、声を聞きつけたマダム・ポンフリーが足速にやってきた。


「貴方達!何をしてるんですか!!ミス・グローヴァーは休養が必要なのですよ!!!」
「すいません、マダム・ポンフリー!ミラが僕達の子守唄が恋しくて眠れないそうで来たんです!」
「さぁ〜お眠りぃぃいい、僕達のかぁわ〜い〜い子羊ちゃん達、よぉぉおおお」
「ブフッ」

 ミラは耐えきれず、吹き出してしまった。フレッドの歌は医務室中に響きわたり、ジョージはフレッドの歌に拍手喝采した。しかしマダム・ポンフリーは面白くなかったのか、カンカンに怒ってフレッドとジョージを医務室から追い出してしまった。

「まったく!何を考えているのかしらあの双子は!!」

 マダム・ポンフリーが帰ってくる前に、ミラは目を瞑って眠ったふりをした。完全に眠気は覚めたと思ったのに、意識はだんだんと重くなり、知らない内に眠ってしまっていた。


 次に目が覚めた時は夕飯の時間だったらしく、マダム・ポンフリーが夕飯を持って来てくれていた。ミラは体をゆっくり起こすと、朝より痛みが大分なくなっていることに気が付いた。

「夕飯を食べたら、またこの薬を飲んでください」

 夕飯の隣に置かれた呑み薬を、ミラは嫌そうに見ながらも、持って来てもらった夕飯をゆっくりと食べ始めた。特に代わり映えもしない景色に、暇だと思ってベットの横に置かれているお菓子の山を見ると、一つ見覚えのない箱が置かれていた。
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