第17章 目覚め
「無事で何よりです、ミス・グローヴァー。これからは、貴方が自分を大切にしてくださると信じてますよ」
「っ…は、い」
顔を伏せたミラを、マクゴガナル先生はまた優しく抱きしめた。
気を失っている間、なんと二日も経過していることがわかった。ハリーは未だ意識が戻らず、隣のベッドで眠っていた。マダム・ポンフリーはミラが目覚めると、苦い薬を飲まされて顔を顰めた。
「こんな重傷を負った1年生は初めてです!全身の骨にヒビが入ってるんですよ!今日は絶対安静ですからね!」
実際骨より筋肉が痛いと感じるのだが、流石のミラも言い返す気力もなく、大人しくベッドに横になった。隣を見ると、ハリーがスヤスヤと気持ちよさそうに眠っているのをぼんやりと眺めていた。
お昼を過ぎた頃、ハーマイオニーとロンがお見舞いに来てくれた。
「五分だけですよ!それと、ミス・グローヴァーは絶対安静ですからね!」
マダムポンフリーが厳しく言うのが聞こえた。
「ミラ!マクゴナガル先生があなたの意識が戻ったって教えてくれたのよ!もう本当に貴方って無茶ばっかりするんだから!!」
ハーマイオニーは嬉しいのか怒っているのか、感情がごちゃごちゃになっているように見えた。
「君、やっぱり頭のネジがぶっ飛んでるよ。トロールに一人で立ち向かうなんて正気じゃない」
「そりゃどーも…」
確かにあの時は正気じゃなかったとミラも思った。でも誰かがトロールを抑えなければいけなかったし、ハーマイオニーが自分を先に見つけたとマクゴナガル先生の話を聞いて、やっぱりあのトロールをなんとかしておいてよかったとも思った。
「マダム・ポンフリーはなんて?」
「全身の骨がヒビだらけだって」
「どうりで大人しいわけだ」
ミラはギロリとロンを睨みつけたが、ロンはどこ吹く風だった。
「明日には治ると思う----ハリーもそろそろ目を覚ますんじゃない?」
三人は隣りで眠っているハリーに視線をやった。
「驚くだろうな、学校中がぼくたちのしたこと、バレてるって知ったら」
「…は?」
ロンの発言に、ミラは耳を疑った。