第16章 試される勇気
ネビルは静かに自分の前に立つミラに、唾を飲み込んだ。
「今夜、グリフィンドールが大変になるって話じゃないんだ…わたし達はやらなくちゃいけないことがある」
「そんなの…」
「君にはわからないことだけど、これは重要なことなんだ」
ハリーもキッパリとネビルに言った。
「行かせるもんか!」
ネビルはハリーとミラを振り切ると、出口につながる肖像画の通路前に立ちはだかった。その目は絶対に譲らないと、ハリー達を睨みつけていた。
「ぼく…ぼくは君たちと闘う!」
「ネビル!そこを退けよ、バカな真似はよせ!」
「バカなんかじゃない!もうこれ以上規則を破っちゃダメなんだ!恐れずに立ち向かえって言ったのは君だろう!」
「ああ、そうだ。でも立ち向かうのはぼくたちじゃないない!」
ロンはいきりたってネビルに言うが、ネビルは絶対に道を開けようとはしなかった。二人の張り詰めた空気に、殴り合いが始まるんじゃないかとハーマイオニーはハラハラしていた。
「やるならやってみろ!殴----「ペトリフィカス・トータラス」ッ!!!?」
ネビルは拳を振り上げながら声を荒げさせていると、急にネビルは頭の先から足の爪先まで固まって動かなくなってしまった。突然のことにハリー、ロン、ハーマイオニーは驚きで声を詰まらせた。
三人は恐る恐るネビルに呪文をかけたであろう人物を見ると、ネビルに杖を向けたミラが無表情で立っていた。
全身が硬くなったネビルは、その場でユラユラと揺れだし、うつ伏せに倒れそうになる所をミラは素早くネビルの前に出て受け止めた。
「一体…何をしたんだ?」
ハリーはネビルを床にゆっくりと仰向けに降ろしているミラに聞いた。
「全身金縛りよ」と、ハーマイオニーは静かに答えた。
「どこでそんな呪文を覚えたんだ?」
「ハーマイオニーが教えてくれた呪文集に載ってた。早速役立ったけど、まさかネビル、あなたが最初だとは思ってもいなかったけど」
恐怖の色を浮かべて目だけしか動かせないネビルの顔を、ミラは無表情で見つめ返した。
「ごめん、これしか思いつかなかった----それにこれ以上騒がれたら誰かが起きてくる」
ミラの言う通りだった。誰もミラを責めようとは思わなかった。