第16章 試される勇気
夕飯の後、談話室の隅で四人はソワソワしながら時間が経つのを待っていた。グリフィンドール生の誰もがもう四人のことを見えないかのように、無視されることも、今夜ばかりは気にしていられなかった。
ハーマイオニーはこれから突破しなければいけない呪いのを一つでも見つけようと、借りてきた本を隅から隅までしっかりと読んでいた。ミラも少しでもハーマイオニーの助けになるように、役に立ちそうな呪文をブツブツ唱えながら本を読んでいた。
ハリーとロンは黙り込み、調べた道順や隠れられる部屋などを頭に浮かべながら、談話室から人がいなくなるのを待っていた。
「ハリー、もうそろそろマントを取りに行ってもいいんじゃないか?」
ロンが最後の寮生が部屋に行くのを見て、ハリーに言った。ハリーもそれを確認すると、「うん」と、頷いてマントを取りに部屋に一度戻った。
ミラもハーマイオニーも本からスッと顔をあげると、お互いを見て頷き合った。ハリーが戻ってくる前に、すぐに出発できるように立ち上がった。
もう後には引き返せない----言葉にしなくても、ミラ、ハーマイオニー、ロンは気を引き締めると、ハリーがマントを持って戻ってきた。
「念のためにだけど、ここで試しに四人でマントを被っていこう。足の一本でも見えたら大変だ----フィルチに見つかったら----」
「君たち、何しているの?」
と、部屋の隅から声が聞こえてきた。
四人は慌てて声のする方を見ると、ネビルが肘かけ椅子の陰から現われた。自由を求めてまた逃亡したような顔のヒキガエルのトレバーをしっかりと掴んで。
「なんでもないよ、ネビル。なんでもない」
と、ハリーは急いでマントを後ろに隠した。
「また外に出るんだろ」
「ううん。違う。違うわよ。出てなんか行かないわ。ネビル、もう寝たら?」
「外に出ちゃいけないよ。また見つかったら、グリフィンドールはもっと大変なことになる」
ミラがチラリと扉の脇にある大きな柱時計を見た。もう出発の時間は過ぎ、もしかすると、もうスネイプがフラッフィーを攻略したんじゃないかと頭の片隅で思った。
「ネビル」
ミラは静かにネビルの前に出た。