第15章 別れの言葉
「スネイプが仕掛け扉を破るなら、今夜だ----それに」
「…校長を学校から離れさせるために、嘘の魔法省からの手紙を送った…」
ミラはハリーが言いたいことを先読みして言うと、ハリーは頷いた。
「でも、わたしたちに何ができるって…」
ハッとハーマイオニーが、ハリーとミラ、ロンの後ろを見て息を呑んだ。後ろを振り返ってみると、スネイプ先生がそこに立っていた。
「こんにちは」
「…」
スネイプ先生の抑揚のない挨拶に、四人はサッと顔を青くした。
「こんな日には室内に居るもんじゃない」と言って、スネイプ先生は取って付けたような歪んだ微笑みを浮かべていた。
「ぼくたちは----」
「もっと慎重にして貰いたいものだ。こんな風にウロウロしているところを人が見たら、何かを企んでいると思わないかね?グリフィンドールとしては、これ以上減点される余裕は無いはずだが?」
スネイプ先生はわざとハリーをジッと見て言うと、ハリーは眉間に皺を寄せた。
「ご心配ありがとございます、スネイプ先生」
見ていられなくなったミラは、ハリーを庇うようにスネイプ先生の前へ一歩踏み出した。
「先生もご一緒にいかがですか、地下牢に籠ってばかりでは体に良くないですよ」
突然のミラの突拍子もない発言に、その場にいた皆が驚きの表情をした。スネイプ先生もまさか誘われるとは思っていなかったのか、今まで見たことのない微妙な顔をしていた。
「----結構だ、ミス・グローヴァー。吾輩はこう見えて忙しいのでね」
「そうですか、残念です」
全く一ミリも残念とも思っていない顔で、ミラはサラッと受け答えをした。複雑な表情でミラを見ていたスネイプは、上着を翻して背を向けた。
「ポッター、警告しておく---これ以上夜中にうろついているところを見たら、私が自らお前を退校処分にするぞ…ミス・グローヴァー、君もだ----さあもう行きたまえ」
スネイプ先生は大股で教員室の方へ行ってしまった。
「---全く!君ってやつはヒヤヒヤさせる!」
スネイプ先生の姿が見えなくなると、最初に口を開いたのはロンだった。ロンを見ると、数年年を取ったように疲れて見えた。