第15章 別れの言葉
「ダンブルドア校長は、十分前にお出かけになりました」
案の定マクゴナガル先生は、ハリーの発言を聞いて冷たい返事をした。
「魔法省から緊急のふくろう便が来て、すぐにロンドンに飛び立たれました」
「校長がいらっしゃらない?この肝心な時にですか?」
「ポッター。ダンブルドア校長は偉大な魔法使いですから、大変ご多忙でいらっしゃる----」
「でも、重大な事なんです」
「魔法省の件よりあなたの用件のほうが重要だと言うんですか、ポッター?」
「実は----先生、賢者の石の件なんです」
慎重さをかなぐり捨てたハリーが、賢者の石とはっきり言うと、それまで厳しい顔をしていたマクゴナガル先生の顔が驚きで目を大きく開いた。持っていた本をドサドサと落とすと、それを拾おうともしなかった。
「どうして、それを----」
マクゴナガル先生は、しどろもどろに言った。ハリーは誰かが賢者の石を盗もうとしていることを伝えた。どうしてもダンブルドア校長に伝えなければいけないと、懇願の眼差しを向けた。
「ダンブルドア校長は、明日お帰りになります----貴方たちが、どうしてあの石のことを知ったのかわかりませんが、安心なさい。 磐石の守りですから、誰も盗むことは出来ません」
「でも先生」
「ポッター、二度同じことは言いません」
マクゴナガル先生はキッパリとハリーに言うと、落とした本を拾い始めた。ミラも黙々と落ちている本を拾い集めると、すでに腕にたくさんの本を積んでいるマクゴナガル先生に渡した。
「ありがとうございます、ミス・グローヴァー----せっかくのいい天気です、外へ行かれてはどうですか?」
誰も外へ行こうとはしなかった。
「今夜だ」と、マクゴナガル先生の姿がなくなってから、ハリーは呟いた。