第15章 別れの言葉
「だから言ってやったよ。三つ頭の犬のフラッフィーに比べりゃ、ドラゴンなんか楽なもんだって」
「それで----その人は、フラッフィーに興味あるみたいだった?」
と、ハリーはなるべく落ち着いた声で尋ねました。
「それは---そうだ---三つ頭の犬なんて、たとえホグワーツだって、そんなに何匹も居やしないだろ?だから俺は言ってやったよ。フラッフィーなんか、宥め方さえ知ってれば、簡単なものだって。ちょいと音楽を聴かせればすぐお寝んねしちまうって----」
ハグリッドは突然、しまったという顔をした。
「おまえたちに話しちゃいけなかったんだ!」と、ハグリッドは慌てて言ったが、もう遅かった。
「忘れてくれ!おーい----皆んなどこに行くんだ?」
ハリーとミラ、ロンそしてハーマイオニーは、玄関ホールに着くまで誰一人として一言も口をきかなかった。
「ダンブルドアの所に行かなくちゃ」
ハリーが呟いた。
「そのマントの奴がスネイプかヴォルデモートだったんだ、もうフラッフィーの宥め方を知ってる…酔っ払ったハグリッドから聞き出すなんて、きっと簡単だったに違いない…ダンブルドアが信じてくれるといいけど…」
「そういえばハリー、校長室がどこか知ってる?」
「いや……ハーマイオニー、君は?」
「私も知らないわ」
三人はロンを見ると、ロンもお手上げだと手をあげていた。誰かが校長室に呼ばれたと聞いたこともなければ、この学校のどこに住んでいるかも四人は知らなかった。
「こうなったら手分けして----」
ハリーが言いかけた時、急にホールの向こう側から声が響いて聞こえた。
「そこの四人、こんなところで何をしているのですか?」
声のする方を見ると、山のように本を抱えたマクゴナガル先生だった。
「ダンブルドア校長にお目に掛かりたいんです」
と、ハーマイオニーが言うと、ハリーとロンは勇敢だと思った。
「ダンブルドア校長に、お目に掛かる?」
マクゴナガル先生は、そんなことを望むのはどうも怪しいとでもいうように、繰り返し尋ねてきた。
「どんな理由ですか?」
「ちょっと秘密なんです」
ハリーが緊張しながらそういうと、ミラは「もう少しうまいことが言えなかったのか」と、顔を引き攣らせた。