第15章 別れの言葉
「ハグリッドにたまたま出会ったなんて、話がうますぎると思わないかい?どうして、今まで気付かなかったんだろう?」
「何が言いたいんだい?」と、ロンがハリーに尋ねたが、ハリーはそれには答えずに校庭を横切って、森へと全力疾走した。代わりにミラがロンの横へつき、ハリーが思いついたことを話した。
「ハリーはそのドラゴンの卵を持った怪しいやつが、フラッフィーについて何か聞き出したんじゃないかって気付いたんだ!もし、ハグリッドがそいつにフラッフィーの何かを喋っていたら?」
「そんな!!!」
ロンもハーマイオニーも顔を青ざめさせ、とにかくハグリッドの古谷へと急いだ。
ハグリッドは、小屋の外で肘かけ椅子に腰掛けていた。ズボンも袖もたくし上げ、大きなボウルを前に置いて豆の鞘を剥いていた。
「よう」と言って、ハグリッドは四人にニッコリと笑いかけた。
「試験は終わったか?お茶でも飲むか?」
「ううん、ぼくたち急いでるんだ。ハグリッド、聞きたいことがあるんだけど。ドラゴンのノーバートを賭けで手に入れた夜のことを覚えている?カードゲームをした相手って、どんな人だった?」
「わからんよ。マントを着たままだったしな」
と、ハグリッドはこともなげに答えた。四人が唖然としている姿を見て、ハグリッドは眉をちょっと動かしながら話し始めた。
「そんなに珍しいこっちゃない。『ホッグズ・ヘッド』なんてとこにゃ----村のパブだがな、おかしなやつがウヨウヨしてる。もしかしたら、ドラゴン売人だったかもしれん。そうだろ?」
「--顔も見なかったの?」
ミラは少し眉間に皺を寄せながらも尋ねた。
「ああ、フードをすっぽり被ったままだったしな」
「その人とどんな話をしたの、ハグリッド?ホグワーツのこと、何か話した?」
「話したかもしれん」と言って、ハグリッドは思い出そうとして顔をしかめた。どんな動物を飼っているのか、本当はドラゴンが欲しかったこと、マントの男はハグリッドに気前よくお酒を奢ってくれたこと、そして----ドラゴンの卵をかけてカードゲームをしたこと。
マントの男は、ドラゴンをしっかりと飼育できなければ、どこにでもあげるわけにはいかないと。