• テキストサイズ

【HP】怪鳥の子

第15章 別れの言葉



 そして数日が過ぎると、茹だるような暑さの中での筆記試験が大きな教室で行われた。試験の時には、カンニング防止の魔法が掛けられた特別な羽ぺんが配られた。

 「開始」の合図と共に配られたテスト用紙を表に向けてザッと目を通すと、想像より簡単な問いにミラは少し拍子抜けした。それもこれもハーマイオニーがしつこく勉強を進めたこと、寝る前の彼女の呪文のような暗唱のおかげなのだが----。

 実技試験も上手くいった。フリットウィック先生の試験は、生徒を一人ずつ教室に呼び入れ、パイナップルを机の端しから端しまでタップダンスをさせられるかどうかの試験を行った。

 マクゴナガル先生の試験は、ネズミを『嗅ぎたばこ入れ』に変えることだった。美しい箱は点数が高く、ヒゲの生えた箱は減点されていた。あの夜以降、ミラはマクゴナガル先生の顔色を伺っていた。
 しかしそれは杞憂に終わった。マクゴナガル先生はいつもと変わらず、あの夜以前の前のままでミラ達に接していた。

 ミラの番になると、テーブルの上に用意されたネズミに魔法をかけ、自分が思う最高の嗅ぎたばこ入れを作り出してみせた。輝くようなエメラルド色の覆われたビンに、精巧な模様を散りばめ、蓋には銀の蓋をつけた。
 もちろんその蓋にも細かい模様を入れるのを忘れずに。

 出来上がった『嗅ぎたばこ』を、ミラは恐々とマクゴナガル先生を見た。厳格な顔つきのマクゴナガル先生は、ミラが魔法で作り出した嗅ぎたばこを手に取ると、隅々まで見回した。


「----よくできています、ミス・グローヴァー。これほど精巧な美しい『嗅ぎたばこ』を作り出した生徒はいないでしょう」

 マクゴナガル先生は嬉しそうにミラに微笑みかけると、うっすら赤みを帯びした頬を人差し指でかきながら、ミラも微笑んだ。

「先生からいただいた本に変身術のコツが書いてありました…とても役立ってます」
「それはよかったです。これからも期待していますよ」
「…! はい!」

 マクゴナガル先生からの「期待している」と言う言葉を聞いて、ミラは一層変身術に力を入れようと心に決めた。
/ 677ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp