第15章 別れの言葉
ハリーは思い出したくもないのか、イライラしているせいでボールに入っていたシリアルはもう無くなりそうだった。
「…なんでハリーはあんなに怒ってるんだ?」
ミラはますます困惑しながらハーマイオニーに耳打ちすると、ハーマイオニーもミラの耳元でコソッと話した。
「多分だけど、気を失ったあなたをマルフォイが先に見つけたのが気に食わないんじゃないかしら?」
「……へぇ」
これは面白いことを聞いた、とミラはニヤニヤしながらハリーを見ていると、いち早くそれに気が付いたロンが肘でハリーを小突いた。ハリーはその視線に気付くや否や、もうほとんどシリアルが残っていないボールに追加のシリアルを慌てて入れていた。
「やきもちかい、ハリー」
「心配しただけだよ」
「今度倒れることがあれば、ハリーにちゃんとに言うよ。ハリー!わたし倒れそう!って」
「君がダドリーよりも軽かったら受け止めてあげるかもね」
ハリーはニヤッとミラに笑い返すと、ミラはフッと笑った。
「そう言うことなら、今日から食べる量を増やすとするかな」
ミラはハリーに見せるように、トーストをもう一枚取ってみせた。
ハリーとミラはホグワーツに来る前は同学年の子供と比べると、かなり痩せていた。しかしこのホグワーツに来てからと言うもの、ダーズリー家や孤児院のことを一切気にすることなく、きちんとした食事を取っているおかげで、だいぶ子供らしいふっくらした体つきになった。
それでもハリーは、ミラがまだまだ他の同学年の女子より細いと思っていたし、食事の量もそこまで多くない。
無事そのトーストがミラの胃に収まったのをこっそり確認したハリーは、大好物の糖蜜パイに手を伸ばした。