第15章 別れの言葉
「うん、ハグリッドとね。夜の『森』も悪くなかった、今度一緒に行かないか?」
ミラは薄切りにされたトーストにバターとジャムを塗ってネビルに問うと、ネビルは顔を真っ青にさせて首を横に大きく振った。引き攣ったネビルの顔を見て、ミラはクスっと笑った。
1枚目のトーストを食べ終わる頃、ハリー、ロン、ハーマイオニーは目立たないよう、小さなネズミみたいに大広間へやってきた。三人に静かに手を降ると、それに気が付いた三人はパッと笑顔を見せてくれた。
「ミラ、もう大丈夫なの?」
「うん、この通りさ」
ミラは元気な様子でヘラッと笑ってみせると、ハーマイオニーがすかさず隣に腰掛けた。ハリーとロンはネビルと同じ向かい側のテーブルに座った。
「心配したのよ!だってあなた、急に倒れるんだもの!」
ハーマイオニーはミラの手を両手で取ると、真っ直ぐに見つめた。
「本当に、本当に大丈夫なのね?」
「マダム・ポンフリーも悪いところはなかったって言ってたし、昨日は---」
ちょうどハリーとネビルの空いた隙間に、よく目立つプラチナブロンドの色が見えて、ミラはピタリと話すのを止めた。向こうもミラに気が付いたが、すぐに顔を逸らしてスリザリンのテーブルへと向かって行った。
「…昨日、倒れたあなたに気が付いたのはマルフォイよ」
「え?」
「あいつはたまたま近くに居ただけだ!」
ハーマイオニーが囁くようにミラに言うと、ハリーが気に食わないと言わないばかりにシリアルを乱暴に自分のボールに入れていた。急に不機嫌になったハリーに、隣にいたネビルは少し困惑していた。
ミラも急にハリーの口調に怒りが含まれていることに少し驚きながらも、隣のハーマイオニーに向き直った。
「ドラ…マルフォイが、どうかした?」
ミラは咄嗟にドラコの名前ではなく、苗字に変えた。なんとなく、今はハリーの機嫌をこれ以上悪くしたくないと思ったからだ。
「えっと…昨日ね、私とハリーが話していると、マルフォイが急に声をあげて…そしたらマルフォイがあなたを支えててそれでハリーが…ハグリッドがあなたを医務室まで運んでくれたのよ」
ハーマイオニーが言葉を選びながら、昨夜怒ったことを教えてくれた。