第14章 禁じられた森
ファングを撫でていると、気分も幾分か楽になった。そろそろユニコーンを探さなければと、ミラはまだ動かないドラコに振り返った。
「…ごめん、さっきのは聞かなかったことにして」
ミラはドラコの横を通り過ぎると、前を先に歩き出した。ファングもその後に続いたが、一向にドラコが着いてくることがなく、ミラは後ろを振り返った。
「マルフォイ?」
ドラコは気難しい顔をしていて、その場に止まっていた。ミラは歩いて来た道を戻った。
「ランプがないと先に進めないんだけど…」
「……た」
「何?聞こえないんだけど…疲れたならわたしが持つから」
ミラはドラコの持っているランプに手を伸ばすと、ドラコはランプを自分の後ろへ隠した。
「悪かったって言ったんだ!セーターのこと!」
「!!」
突然ドラコが大きな声を出してせいで、ミラはビクッと体を硬直させた。ランプを後ろ手に持っているせいで、ドラコの顔がハッキリと見えなかったが、ミラはドラコがセーターのことで謝ったのだと、少し遅れて理解した。
「…謝ったぞ、お前もぼくに謝るべきだ」
なんのことだ?とミラは首を傾げると、ドラコは苛立った声でミラに詰め寄った。
「お前だってぼくに酷いことを言ったのを、覚えてないのか?不愉快だとか、人間のクズだとかひとでなしだとか」
「そ、それは本当のことだ!」
「ぼくが傷付かない人間だとでも思ってるのか?!」
「ああ言われて当然のことを先に言ったからだろ!」
「だったら人のことは騙してもいいのか?」
「あのことならちゃんと謝ったじゃん!」
「ぼくは許してないからな!」
「どけち!!!」
「!!!」
ピクリ、とドラコの頬が引き攣った。
「ぼくが、どけちだって?」
「ああ、そうだとも!ドラコが許さないなら、わたしも許さない!」
ミラは腕を組んでドラコをキッと睨み付けた。