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【HP】怪鳥の子

第14章 禁じられた森


 ドラコの口から謝罪の言葉が出るとは夢にも思わなかったミラは、聞き間違えたのではないか?と、ドラコをジッと見つめた。

「おい」

 何も答えないミラに、気まずいのかドラコは声をかけた。

「何か言え----いっ!?」

 ミラはドラコの頬を思い切りつねり上げた。突然のことに、ドラコは驚き、自分の頬を捻りあげるミラの手を振り切って後ろへ下がった。

「なっ…何をするんだ!」
「謝ることなら、他にもいくらでもあったはずだ!髪なんて、また伸びる!そんなことより---」
「そんなこと?そんなことだと?」
「そうだよ!ロンのお母さんがくれたセーターを貶した!貧乏人らしい酷いデザインだって!会ったこともないのに、ロンの友達だからって、わたしの為に編んでくれた!アンタ、考えたことある?あんな孤児院でわたしを気にかける人なんていない!服だってどっかから取り寄せたお古だし、欲しいものなんて買ってもらったことなんて一度もない!わたし、嬉しかった----こんな幸せなクリスマス、わたし、初めてだった…」
「…!」

 急に怒鳴り出したミラは、思いつくままドラコに怒りをぶちまけた。クリスマスの日にたくさんのプレゼントを受け取った時のことを思い出し、怒っているはずなのに、目が潤みだした。

「もしあなたのお母さんの贈り物に、わたしが酷いことを言っても、気にしないの?」

 酷く自分に怒り散らしているミラを、ドラコはヒヤヒヤした気持ちで固まっていた。が、最後の方になるにつれ、ミラの怒りの籠った目が潤い始めたことに気が付き、ピシッとまるで本当に石になってしまったかのように体が固まった気がした。

 ハッとミラは自分が感情をむき出しにしてドラコに怒っていることに気が付き、クルリと背を向けた。

(なんでこんな奴に感情的になって…落ち着かなきゃ)

 大きく息を吐いて、ミラは落ち着きを取り戻そうとした。こんな真っ暗な森で大声を出すなんて、狼男がいれば、ここにいると知らせているようなものだ。
 後ろにいたファングも、クゥン、とミラとドラコを見て小さく泣いていた。

「…ごめん、ファング…怖がらせて…もう大丈夫」

 ファングに近寄り、よしよしと頭を撫でてやると、ファングは嬉しそうに尻尾を振ってくれた。
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