第14章 禁じられた森
それからというもの、ハリーとハーマイオニーはすっかり静かになってしまった。ハリーはクィディッチを辞めようとしていたが、キャプテンのウッドがそれを許さなかった。
ハーマイオニーも、授業ではいつも先生の質問に手を上げて答えていたのが、今では目立つことを控えて物静かに座っているだけだった。
試験の日が近付いているせいもあってか、ハリー、ハーマイオニー、ロンは勉強に没頭していた。そうすれば、周りを気にせず、気持ちが楽だということを、ミラはわかっていて、あえて何も言わずに勉強に参加していた。
「…なんでそんなに気にするかな、ノクチュアもそう思わないか?」
「ホー」
はぁ、とミラはため息を吐いた。
自分だけが息が詰まりそうな感覚を覚えて、フクロウ小屋に一人で来たミラは、腕に止まったノクチュアを撫でながら彼女に尋ねた。鬱々した気分が、ノクチュアの柔らかい羽を撫でるたびに、無くなっていくような気がした。
「ノクチュア、貴方にお願いしたいことがあるんだけど、頼まれてくれる?」
ポケットから手紙を引き出してノクチュアに見せると、彼女はスッと姿勢を正して、嬉しそうに手紙を見ていた。手紙を送る相手がいなかったせいで、これまでノクチュアに仕事をさせたことがなかった。時々ヘドウィグと朝食の時間にパンを齧りにやってきたりしていたが、その目には仕事を欲していることを、ミラはわかっていた。
時々こうやってフクロウ小屋に来ては、彼女を相手に話しかけたり、時々休みの日に校内で飛ばして、不満を募らせ過ぎないように努めていた。
「ルーマニアまでは遠いけど、あなたなら飛べるよね?」
「ホォ!」
初の仕事に、ノクチュアは翼を大きく広げて見せた。彼女に手紙を持たせると、ノクチュアは意気揚々と空へ飛んでいってしまった。小さくなってくノクチュアを、ミラは目を細めて見守った。