第14章 禁じられた森
翌日になると、寮の大きな砂時計に気が付いた生徒達が驚きの声をあげていた。つい昨日まで首位に立っていたグリフィンドールが、今は最下位になっていた。流石に150点の減りは、大きな波紋を呼んだ。
どこからか噂が流れ、ハリーが数人の生徒とバカなことをしたらしいと、ホグワーツ中の生徒に知れ渡っていた。クィディッチの試合で大活躍し、学校で最も人気のあったハリーは、今や学校中の嫌われ者だった。
どこへ行ってもみんながハリーを指差し、聴こえる大きさの悪口を言っていた。それはグリフィンドール生だけからじゃなく、ハッフルパフやレイブンクローも、スリザリンから寮杯が取れることを楽しみにしていたおかげで、すっかり敵に回っていた。
「あーぁ、今年こそスリザリンから寮杯を取れると思ってたのに残念だ」
「自分が有名人だからって、何をしてもいいと思ってるのかしら?私なら、恥ずかしくてこんな所歩けないわ」
ハッフルパフ生とレイブンクロー生の誰かが、聞こえるように大きな声で話していた。ミラはピタリと歩いていた足を止めて、そのグループを睨み付けた。
「そんなにスリザリンを負かしたかったら、自分達で寮杯を取ろうとは思ってないのか?負け犬が----」
何も言い返さないハリーに、モヤモヤしていたミラはハッフルパフ生とレイブンクロー生にはっきりと物申した。
「ミラ!」
ハリーが慌ててミラの手を掴んで、その場から走り出した。ハーマイオニーもそれに続いて、三人は急いでその場を離れた。
「ミラ、ダメだよ刺激しちゃ!」
「グリフィンドールでもない他の寮が、ハリーの悪口を言うのはおかしい!そうだと思わないか、ハリー」
「そうだけど……でも今は目立たない方がいい…君まで悪口を言われるよ…」
「ハリーだけの責任じゃない!わたしも50点減点されてる!」
ミラは強くハリーを睨み付けた。
「----行こう、次の授業へ」
落ち込んでいるハリーを、ミラはそれ以上責めることはしなかった。ため息を着いて、目的の教室へ向かった。
一方、スリザリン生からは、ハリーが通る度に口笛や、拍手を送られ、「ありがとよ、ポッター。借りができたぜ」などと囃し立てた。