第13章 ノルウェー・ドラゴンのノーバート
予定の時間になると、人の居なくなった談話室から、ハリーとハーマイオニーを見送った。二人が居なくなると、ミラは大きめのソファーに座り込んだ。チラリと時計を見ると、チャーリーの友達がやってくる時間が、嫌でも近付いていた。
やっぱり自分も見送るべきだったかもしれない…と、ミラは後悔した。今日ほとんどの時間を一緒に過ごしたというのに、虚しさばかりがミラの内側に溜まっていった。
----気が付くと、ウトウトと眠ってしまっていたようだ。誰かが談話室を横切って、パタンとドアが閉まる音が聞こえて目が覚めた。
「…ハリー?ハーマイオニー?」
ミラは立ち上がって、薄暗くなった談話室を見回したが、誰もいなかった。しかし、誰かが談話室を出ていく音は確かに聞こえた。
(取り越し苦労にならいいけど…)
ミラも慌てて談話室から飛び出した。万が一の可能性を考えて、誰が飛び出して行ったのか、静かな校内でミラは耳を澄まして足音をおった。
談話室を出て行った人物には、すぐに追いついた。目が暗闇に慣れてくると、背丈がそんなに大きくないことがわかった。すぐ追いついた理由は、その人物はこの暗闇の中を怖がって歩いていた。だんだんはっきりしてくるシルエットに、ミラは「ネビル?」と、声をかけた。
ネビルは突然後ろから声をかけられたせいで、びっくりして飛び上がった。
「うわっ!ミラ!ど、どうして君がここに?!」
「誰かが談話室で出て行くのが見えたから、誰かと思って追ってきただけ。それより、こんな時間に何してるの?」
「そう、大変なんだ、ミラ!」
ネビルは慌てていて、早くどこかに行かなければいけないと言った様子が見てとれた。
「マルフォイが今夜、ハリー達を捕まえるって言ってたのを聞いてたんだ!天文台にドラゴンを連れて行くって!早くハリーに伝えないと!」
「ネビル、そのことだけど…」
ミラは務めて冷静に話した。ハリーがベットにいないことは、男子部屋でわかっているだろうが、ドラゴンの存在はなかったことにしたかった。
「…とりあえず、談話室に戻ろう。ハリー達なら大丈夫だから」
ミラはネビルを連れて談話室に引き返した。