第13章 ノルウェー・ドラゴンのノーバート
朝食の時間には一度大広間に戻ると、ハリーとハーマイオニーがすでに座っていた。二人はミラを見かけると、どこに行っていたのかという質問はしなかった。聞かなくてもミラがどこに行っていたのか、二人はわかっていた。
「ノーバートの件だけど…ごめん、わたし…」
朝食のテーブルにつくと、ミラは気まずそうに二人に話しかけた。
「わたしとハリーが行くわ…だってあなた…ノーバートと仲が良かったもの」
ハーマイオニーは、元気のないミラの背中に手を添えて、ゆっくりとさすった。
「ぼく達に任せてよ、ミラ。絶対に成功させる」
「…うん、ありがとう」
優しく笑いかけてくれるハリーに、ミラは力なく笑った。これがノーバートのためだとわかっているが、ハグリッドの次に自分に懐かれている自信があった。ドラゴンだから、もっと凶暴なのかと想像していたが、ノーバートはまるで犬や猫と変わらない生き物だとミラは思った。
できればこのまま、大きく成長する姿を見守ってあげたかった。
そう思えば思うほど、今夜の見送りが辛いと思った。ハグリッドの方がよっぽど辛いだろうが、ミラもモヤモヤした気持ちを抱えていた。
朝食を終えるとまたハグリッドの小屋へ向かった。昼食にはまた大広間へ戻り、終われば小屋へトンボ帰り。時間がある限り、ミラはハグリッドとノーバートと一緒に過ごした。ノーバートのことを忘れないように、ノーバートも自分たちのことを忘れないように----。
門限の前には、ミラは談話室に戻った。ハリーとハーマイオニーが暖炉の前で座っているのを見つけると、ミラは二人の元へ向かった。二人は特に何も話さなかったが、緊張していることはわかった。
なんたって今晩は、誰にも知られずに、ノーバートを一番高い塔にまで連れていかなければならないのだから。