第13章 ノルウェー・ドラゴンのノーバート
次の日の授業は、どの先生もミラの短くなった髪を見ても、それほど驚いた様子はなかったが、マクゴナガル先生が気に掛けた声をかけると、ミラは「最近暑くて…」と、気恥ずかしげに髪を何度も撫でつけた。
「お似合いですよ、ミス・グローヴァー。貴方の素敵な目が見れて嬉しいです」
普段気難しい顔をしているマクゴナガル先生は、フワッとに笑顔を向けると、ミラはブワッと一瞬で顔を赤くさせた。小さなネズミのような声で「ありがとうございます」と言うと、変身術の教科書で顔を覆ってしまった。
横に座っていたハーマイオニーが、クスクス笑っている声が聞こえたが、ミラは顔から熱が引くまで、教科書で隠し続けた。
そして金曜日の憂鬱な魔法薬の授業は、いつも通り静かに行われたが、ミラには集中できない授業だった。
「…何か、間違えてましたか?」
「いいや…そのまま続けたまえ」
自分の調合を見に来たスネイプ先生の視線を感じて見てみれば、静かに、何事もなく去っていってしまった----なんとなく、目を見られていたような気がした。
授業が終わると、早く教室から出たいと思っていると、それは他のグリフィンドール生も同じだったようで、ミラが全ての片付けが終わる頃には、ほとんどの同級生も似たようなものだった。
ハリーとハーマイオニーもすでに片付け終わっており、自然と集まって、教室の出口に向かった。
「男がスカートをはいてるって思ったら、あんただったのね、グローヴァー」
教室の入り口を通り抜けようとした時、自分を馬鹿にした声をかけられて振り返った。考えなくても、声の主はわかっていた。
「すっごくお似合いよ、ポッターとお揃いで嬉しいんじゃない?」
パンジーが周りのスリザリン生の女子とクスクス笑ってミラを見ていた。ミラより前にいたハーマイオニーが、すぐに振り返ってパンジーに噛み付くように言い返した。
「あら、ようやくミラの良さに気が付いたの?随分気付くのが遅いのね」
「グレンジャーもその髪、切ってもらったらいいんじゃない?まぁ似合うかは別だけど」
「鈍臭いあなたじゃ、わたしが髪を切っても気が付かないでしょうね」
睨み合ったハーマイオニーとパンジーの間には、火花が散っていた。