第13章 ノルウェー・ドラゴンのノーバート
食事を済ませると、三人は足早に談話室に戻った。ミラは談話室につくなり、そそくさと女子部屋に行ってしまった。ハリーも男子部屋に戻ろうとするのを、ハーマイオニーは引き留めた。
「ねぇ、ハリー、ミラの様子が変だわ」
ハリーはやっぱりハーマイオニーに聞かれるとわかっていた。困ったような顔をしたが、少ししてハリーはハーマイオニーと誰も周りにいない壁際に寄って話し始めた。
「ミラはその…あんまり目を見られたくないんだ」
「どうして?とっても素敵な瞳だと思うわ」
「ぼくも全部は知らないんだけど…あまり孤児院でいい思いをしてないんだ…マグルじゃ珍しい色だから…」
「いじめられてたの?!」
ハーマイオニーは信じられないと言った顔でハリーを見た。
「瞳の色でいじめるなんて最低よ」
「いや、ミラはいじめられてはいないよ…ほら、あんなに喧嘩強いし」
ハリーはキョロキョロと周りに人がいないか確認すると、さらに声を潜めてハーマイオニーに話した。
「一度だけ彼女の孤児院に行った時、そこの院長に会ったことがあるんだけど…とてもじゃないけど、いい人じゃなかった。いつもミラに酷いことを言ってるみたいだった。他の子供も、ミラのことは避けてるんだ」
「そんな…」と、ハーマイオニーは女子部屋に行ってしまったミラを見上げた。
「これはぼくの考えなんだけど、目の事、言われたんじゃないかな…なんとなく、そんな気がするんだ」
自分はダーズリー家で色々あったが、ミラも孤児院で色々なことがあることは、想像できた。だからこそ出会った時、似たような境遇ですぐに意気投合した。
「だから前髪で隠してたのね…」
ハーマイオニーはなんとなく、ミラが目を見せたがらないことに気が付いていた。
「わたし、ミラの目を見た時とっても綺麗だと思ったわ。隠してるのが勿体無いくらいよ」
「ぼくもそう思う」
「話してくれてありがとう、ハリー…わたし、できる限りのことをするわ」
「そう言ってくれると助かる」
二人は笑い合うと、それぞれの部屋に向かって歩きだした。