第1章 夜景とコーヒーと貴方の香り
「七海こそ、こんな時間までどうしたの?」
彼は七海建人。
私の同期でとても優秀な人。
仕事は早く情に厚いからクライアントからの信用もある。
よって出社日のほとんどは定時に上がっている。
そんな彼がどうしてこんな時間まで…。
「クライアントとの打ち合わせが長引きまして。」
「あぁ、そうだったの。」
「貴方こそ何かあったのですか?」
「私は明日までの案件に急に変更がね。もう少しで変更の資料は出来上がるのだけど…。」
「手伝います。」
「えっ…。でも七海だって他の案件で忙しいのに…。」