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涼風の残響【鬼滅の刃】

第24章 予知と鎮魂


実弥が剣士たちを見付けて追い回し始めた頃、風音も剣士たちの姿を確認し、持ち前の脚力を使って追い付こうとしていた。

「止まってください!私は生きて欲しいから先を送ったの!お願い、止まって!」

声は確実に届いている。
それは剣士たちの体がピクリと反応したことが証明している。

それなのに動きを止めてくれたのは、たった一人だった。

「風音……でも俺らが鬼舞辻の足止めしなきゃ。どんな攻撃くるかは風音が見せてくれたから、どうにかしてみせるよ」

止まってくれたのは、何度か共に任務をこなした勇。
その勇でさえ風音の願いに困惑し、今にも走り出してしまいそうなほどに急いた表情をしている。

そんな勇をチラと見遣り、再び前を走る剣士たちを視界に映した。

「ここで待ってて下さい!私は皆さんを止めてきますので……夙の呼吸 肆ノ型 飄風・高嶺颪!」

……言葉で止まってくれないならば実力行使するまで。

幸いにも根城内は通路であっても天井が高く、ふわりと飛び上がった風音は無事に剣士たちの前へと降り立つことが出来た。

突然技を放ってまで自分たちの前に現れた風音に全員が驚き困惑し、肩で息をしながらようやく立ち止まった。

「これ以上進まないで下さい。止まらないと言うならば、私が皆さんを地に伏せさせることになります」

困惑したまま剣士たちは互いに顔を見合わす。
そんな剣士たちの中には不満を顔に出している者も見えたので、風音は奥歯をかみ締めて深く頭を下げた。

「貴方たちの気持ちはすごく嬉しく思います。どんな先を強制的に見せられようとも、鬼舞辻に立ち向かおうとしてくれる心は……尊く愛しく思います。でも私は皆さんに生きて欲しい。ここで命を落とさせるために、私の能力を使ったのではないと……どうか御理解くださいませんか?」

シン……と耳が痛くなるほどの静寂が風音を包む。

返事がないこの状況をどうすればいいのか……と考えながらゆっくり顔を上げると、いつの間にか勇が目の前に歩み寄ってきていた。

「俺たちじゃあ……力不足?今このまま鬼舞辻のとこ行っても、鬼舞辻の復活の糧にしかならない?」
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