第24章 予知と鎮魂
何が鬼を崩れさせる要因となったのかは分からない。
だが玄弥の血鬼術で体を拘束し、無一郎が赫刀で更に拘束及び激痛を与え、行冥が頭の上に鉄球を落とし、実弥が追い打ちをかけるように鉄球を日輪刀で押し切ることにより、鬼の頸から上が消滅。
それでも消滅に抗うように鬼が再生を試みるも、実弥が赫刀を振り被ることによって鬼そのものが消滅した。
その場に残されたのは戦闘に参加した柱全員と玄弥。
そして鬼の着衣と、鬼が懐に入れていたと思われる横笛。
本来この戦闘で命を落としていたはずの無一郎と玄弥と風音も、事前に風音の先読みの能力で策を講じれたので誰一人欠けていない。
「終わったァ……あとは風音の体調が問題か」
「そうですね。風音ちゃんが一番怪我も酷いし力を使った影響で……」
実弥や無一郎、玄弥に行冥が息を整えながら風音に歩み寄ろうと足を向けた瞬間、四人の瞳にパッと赤が映し出された。
それに加え部屋に響き渡る、胸を締め付けられるような悲鳴が鼓膜を刺激する。
何が起こったのか。
鬼が消滅し、事前に見せてもらった先の情報によれば、自分たちは今から、鬼の身でありながら鬼殺隊に尽力している珠世なる女性を鬼舞辻から助けに行くはずだった。
この場にいる五人全員で……だ。
その中の一人である風音も怪我を負っているものの、何の問題もなくそこに向かうはずだったのだ。
それなのに四人の前にいる風音は全身から血を噴き出させ、今まさに床に倒れこもうとしている。
「風音!」
何が起こって血塗れになったのかは分からないが、苦しむ風音を放っておくことなど出来るわけもなく、実弥は誰よりも早く反応して風音に駆け寄り抱き留めてやった。
「何があった?!おい!しっかりしろ!」
他の者たちも風音のそばに駆け寄り様子を伺う。
見たところ傷はどれも深くないようではあるが、無数に切り傷が肌に刻まれているので、早く処置をしなくてはならない状態であると誰もが判断した。
「不死川、ひとまず横たえさせてやりなさい。そのままの体勢では柊木も辛いだろう」
行冥に促され実弥は我に返ったのか、胸に抱き留めている風音を一度キュッと抱きしめてやってから床に横たえさせたのだが……