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涼風の残響【鬼滅の刃】

第24章 予知と鎮魂


「おいおい!嬢ちゃん大丈夫なんだろうな?!鬼になってねぇだろうな?!」

「落ち着け!鴉の声が聞こえんだろうが!」

ここは鬼殺隊本部。

とは言っても新たに設けられた鬼殺隊の本部である。

柱たちが柱合会議を行っていた本部は爆破により大破してしまったため、兼ねてより有事の際に鬼殺隊の機能が麻痺せぬよう用意されていた場所だ。

そこではお館様……現在はお館様のご子息である輝利哉様が、新たなお館様として、戦場に鴉を無数に飛ばし指示を出している。
ちなみに鴉の額には不思議な模様の描かれた紙が貼り付けられており、滞りなく情報が本部へ集結するよう取り計らわれている。

この紙は鬼の珠世の傍らに寄り添っている愈史郎の血鬼術で、二人もまた鬼舞辻無惨を倒すために尽力しているのだ。

「……鬼二ナッテイナイヨウデス。瞳モ爪モ人ノモノダト報セガ入リマシタ」

鴉の言葉に安堵したのは天元と杏寿郎の父親である槇寿郎。
二人はお館様の警護のためにここへ馳せ参じていた。

鬼殺隊を抜けてはいるが未だに衰えていない天元と、一線を退き年数は経っているものの、元炎柱である槇寿郎の力量はお館様を守るために有力だと抜擢されたのだ。

「はぁぁあ……本っ当に心臓に悪ィ。何だよ……鬼舞辻の野郎じゃなけりゃ鬼増やせねぇんじゃなかったのか?どうなってやがる」

「俺にも分からん。とりあえずあの子は無事……とは言えんが、人として懸命に鬼と戦っている」

「そうだな。輝利哉様も幼い身で立派に務めを果たされておられる。俺たちも負けてらんねぇ……よな」

二人が口を閉ざすと、背後の部屋から輝利哉様の声が響いてきた。
天元の言葉通り、床に伏せる父に代わり懸命に成すべきことを成しているようである。

「なぁ、煉獄の旦那。見たことあるか?不死川の驚くくれぇ穏やかな表情」

いきなり何を言い出すのか、と思ったものの、何か伝えたいことがあるのだと思い直し……首を左右に振った。

「いや、俺が柱の時には見たことがないな。何だ?それがどうかしたのか?」

「ん?あぁ、嬢ちゃんを前にすると、穏やかな表情で頭なんて撫でてやるんだぜ?やっとだ。やっと心を休められる相手を見つけたんだ。俺はアイツらのこと弟妹みてぇに思ってる……これ以上、失う辛さを味わって欲しくねぇなぁって思ってよ」
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