第24章 予知と鎮魂
先を見た時に判明したことは、何かしらの影響で赫く染まった日輪刀で鬼を斬ると傷の再生が遅くなることと、その傷口が通常時より鬼へ苦痛をもたらすこと。
そんな鬼に対して絶大な力を発揮する何かしらの影響と思われるのは
万力の握力
赫く染まった日輪刀、赫刀を染まっていない色変わりの刀と異名を持つ日輪刀に均衡した力でぶつけること
だと判明していた。
判明してはいたのだが、鬼が出ない状況下で万力の握力を日輪刀に込めることが出来ず、この戦が始まる前までに誰も染めることは叶わず終いだったのだ。
しかし今、風音の日輪刀は上弦の弐と戦闘したことにより赫く染まっている。
実弥も日輪刀を赫く染まらせているが、無一郎の日輪刀を染めるには均衡した力が必要なので、実弥では力が強過ぎて不可能。
そうなると無一郎より力が劣るものの、風音の方が適任だと判断した二人によって今に至る。
そして二人の判断と無一郎の決断は正しかった。
交わっている箇所から無一郎の日輪刀が一気に赫く染まり上がったからだ。
「染まった!今度は絶対に私が無一郎君を守るからね!あの時、無一郎君が助けてくれてなかったら、私は鬼になってたかもしれなかったの」
染まったことに感動する間もない。
無一郎が目を見開き驚いている姿に笑みを残し、風音はすぐさま実弥の元へと身を翻して去ってしまったからだ。
「嘘でしょ……そんなにギリギリだったんだ。……守られてる場合じゃないじゃん!」
ギリギリのところで人として今も鬼と刃を交えている風音の背を追い掛けるように、無一郎も赫く染まった日輪刀を手に走り出した。
「風音!時透の日輪刀……っと、染まったかァ?!」
「うん、染まった!でも……っ?!うっ……」
柱合会議で見た未来と違うから、これから何が起こるか分からない
と続けたかったのに、実弥への返答は遮られてしまった。
そして風音や実弥、そして無一郎の瞳に映ったのは、赤い液体が飛び散る様だった。
「まずは貴様だ。地に伏せろ」
目の前の上弦の壱の血気術が風音の胴体を切り裂いたのだ。
しかし傷は深くないようですぐに体勢を整えたが、どうも風音の様子がおかしい。
「風音ー!下がってろォ!風の呼吸ーー」