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涼風の残響【鬼滅の刃】

第24章 予知と鎮魂


「先読みの剣士の力を駆使してもこの程度か」

扉を吹き飛ばし更に振り切った二本の日輪刀は、薄気味悪い目玉が蠢く刀のようなもので受けられ……弾き飛ばされた。

しかも血鬼術を使用していたのか、二人の隊服を通り越して腹の薄皮一枚を切り裂いている。

「霞の呼吸 伍ノ型 霞雲の海」

弾き飛ばされた勢いのまま後退した二人と入れ替わるように無一郎が鬼へと切りかかり、幾度となく頭の中で反芻させた

月の呼吸

なる鬼の血鬼術を技でいなしつつ距離を詰めていく。
しかし距離を詰めたかと思うと殺傷能力の高い技を繰り出され、無一郎の体に傷が増えるだけだ。

その頃風音と実弥は既にそれぞれが別方向に動いており、離れた場所から互いに頷き合って意思を確かめ合った。

「無一郎君!こっち!」

先を送られていない今、何故風音が自分を呼ぶのか無一郎には皆目見当もつかなかった。

しかし実弥が風音の意志を汲んだかのように無一郎と鬼との間に滑り込み、その隙に呼ばれた方角を見て、二人が何をしようとしているのか理解した。

無一郎の瞳に映し出されたのは日輪刀を構えじっと自分を見据えている風音の姿。
しかもその日輪刀は本来の色とは異なる色が混じっている。

「赫刀。よし、風音ちゃん!吹き飛ばされずしっかり受けきってよね!」

「腕が折れても受け切るよ!全力で打ち込んで!」

事前に見せてもらっていた先では自分が一番に日輪刀を赫く染め上げるはずだった。
それがいつの間にやら風音が修得している。

この現実にやってきた戦でも自分が真っ先に……と密かに意気込んでいたので少々複雑な気持ちであるが、上弦の壱を前に贅沢は言っていられないと、険しさの混じる笑顔を向けながら不吉な言葉を叫んだ風音に向かって日輪刀を力の限り振り切った。

すると金属がぶつかり合う音などという可愛らしい言葉で済まされない音が部屋一帯に響き渡り、実弥と鬼との攻防の際に出ている戦闘音を霞ませる。

そして……風音は想像以上の無一郎の力に全身から血が吹き出すのではと思うほどに血管を浮き上がらせ、歯を食いしばって無一郎の日輪刀に注視した。

(腕どころか全身の骨が砕けそう!でも……確か赫刀の発動には拮抗した力で刀を打ち合う必要があったはず!どうか……染まって!)
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