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涼風の残響【鬼滅の刃】

第23章 閃光と氷


「何事もなかったかのように振る舞ってんじゃねェぞ。鬼の戯言に耳貸すなって言い聞かせてただろうがァ!戦闘不能な怪我負ってたらどうすんだよ!腕……動くんだろうなァ?!」

……やはり叱られてしまった。
本人も叱られると分かっていたからこそ話を逸らしていたのに、そのまま流されてくれるほど実弥は甘くない。

皆にポカンと見つめられる中、風音はポソポソとお返事を口にした。

「い……今までで一番許せない鬼だったから、つい。腕は絶対に潰れないって分かってたし……多少流れる血が増えて鬼の顔に滴り落とせるかなぁ?くらいの出血で済む手筈……でした。うぅ……実弥君、ほっぺた痛いーごめんなさい、もう鬼の戯言聞きません!皆さんにもご心配おかけして申し訳ございませんでした!」

実弥だけでなく共に戦った仲間たち全員への謝罪もすませたことにより、無事に風音の頬は実弥の指から解放された。
……お騒がせな行動をしたので仕方ないのかもしれないが、風音の頬は見ている者が涙を浮かべてしまいそうな程に赤くなってしまっている。

その頬を涙目で撫でる風音に実弥は小さく溜め息を零し、今度は優しく頭をポンと撫でた。

「あんま無茶してくれんなァ。ただでさえお前は俺らより負担抱えてんだからよ……酔いも問題ねェのか?無理してんなら俺に先を送んのやめ」

「やめないよ。……正直なところ今は皆さんが離れすぎてて頭の中熱いけど、これからそれも緩和されるから。手筈通り、私と実弥君は無一郎君たちと合流、しのぶちゃんとカナヲさん、伊之助さんは義勇さんたちに合流。これだけ纏まれば負担は少なくなるよ」

どうあっても鬼に対して有効な手段に妥協はしないようだ。
こんな時の風音は柱相手であろうが実弥相手であろうが、自分の意志を曲げることはしない。

何度も深呼吸を繰り返し体調を整える風音を一同が見届けていると、華奢な手が脂汗の滲む額に添えられた。

「風音ちゃん。恐らく貴女の体温は現在、四十度近くまで上がっています。痣の発現と能力の酷使が原因でしょう。私も不死川さんも柱です。限界を迎える前に、私たちの力を信じて能力を制限して下さい。いいですね?」
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