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涼風の残響【鬼滅の刃】

第23章 閃光と氷


「ちょっと、邪魔しないでよ。僕はそこの女の子たちと一つになろうとしてただけだよ?えーっと、確か後ろの君は風音ちゃんって言うんだよね?代わりに、風音ちゃんが僕と一つになってくれるのかな?」

「夙の呼吸 肆ノ型 飄風・高嶺颪」

実弥と入れ替わるように風音が飛び出し、血鬼術が放たれる前に斬りかかった。

しかし刃は届かず、技は金属製の扇子のようなもので弾き飛ばされてしまう。

「気持ち悪いこと言わないで。名前を呼ばれるのも不愉快だ!あの人たちは殺させないし、私も殺されない!夙の呼吸ーー」

「殺すだなんて人聞き悪いなぁ!僕は彼女たちをこの世のすべての苦しみから解放させてあげようとしてるんだよ?僕は風音ちゃんのお父さんみたいに無駄な殺戮はしないって」

幾つも技を放ち鬼の体に叩き込むも、切ったそばから回復されてしまうのでキリがない。
更には風音の精神を揺さぶるような鬼の発言により、僅かに太刀筋がブレて、頬に一筋の傷が走った。

「ハハッ!ほら、世の中悲しいことばっかりでしょ?風音ちゃんも僕と一つになれば」

「風の呼吸 弐ノ型 爪々・科戸風!」

背後に控えていたであろう実弥の技が風音の僅か前で放たれ、上弦の鬼の首を掠った。

「胸糞悪ィんだよ、無駄口叩けねェように頸斬り落としてやらァ」

「本当のこと言ってるだけだよ?風音ちゃんのお父さんはね、たくさん人を喰ったから下弦の鬼になったの。こうやって」

異様に無駄口の多い鬼はいつの間にか風音の右腕を掴み、それを口に運ぼうとしていた。
だが先を常に見ている風音や、同じ光景を頭に流し込んでもらっている実弥にとっては予測通りの出来事。

風音が反対の手で鬼の手首を握り返し、すかさず実弥が背後から頸を狙う。

「チッ……ここまで予知通りかよ」

しかし鬼も鬼で先が見えていないと言えど、曲がりなりにも上弦の鬼。
風音の腕に歯型を付けることすら叶わなかったものの、日輪刀が頸に掠ることもなかった。

「風音、さっきの人たちは爽籟と楓に任せた。だから遠慮する必要なんざねェ……思う存分暴れんぞ!」

「爽籟君と楓ちゃん来てくれてたんだ。……はい!実弥君の背後は任せてください!」
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