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涼風の残響【鬼滅の刃】

第23章 閃光と氷


「分からないかい?君自らこの子たちの内にいた、虎や龍を叩き起してしまったんだよ。いつでもこの子たちは君を睨み続け、頸を斬り落とす機会を伺っている。長年に渡る人々の想いを受け継ぎ続け、この日のために牙を研いで待ち構えていたんだ」

「そんな想いなど、今日ここで鬼殺隊の奴らを根絶やしにすれば容易に断ち切れる。私が憂うことなど何もない」

もう聞く言葉などない……と言わんばかりに、鬼舞辻無惨がお館様に手を伸ばすが、鋭い光を放つ一閃で止められた。

風音が日輪刀を鞘から抜き出し、鬼舞辻無惨に向かって横に薙いだためである。

「黄泉への旅路の前に聞いてくれるんでしょ?」

風音にしたら控え目な挑発であっても、鬼舞辻無惨は苛立ちを覚えたようで、顔に青筋がいくつも走った。
それをやはり穏やかな表情で見届けながら、お館様は言葉を続ける。

「想いは不滅だ。君が私たちをここで根絶やしにしようと、同じ志を持つ者が必ず現れる。君は長年受け継がれ続けてきた私たちの想いから、絶対に逃れることは出来ないんだよ」

お館様の言葉に本格的に怒りを覚えた鬼舞辻無惨は風音には目もくれず、お館様の首元へと鋭く伸びた爪を突き出したが、突然目の前が暗闇に包まれ、その動きを止めた。

そして暗闇の中で誰の目にも映ってはいないが、今度は風音の顔に笑みが浮かんだ。

「これで目くらましのつもりか?小癪な……」

「夜目がきくの?鬼だもんね、暗闇大好きだよね。私だって鬼のあんたにこれぐらいで目くらましになるなんて思ってないから。お館様も仰られていたでしょ?牙を研いで待ち構えていたんだって」

何を……と鬼舞辻無惨が思った次の瞬間、何かが畳に叩きつけられる音が響き、間髪なく辺りが白むほどの光が弾けた。

その光の中で何かが動き、この場から離れていくように見えるが、強烈な光が視神経を強烈に刺激し、朧気にしか見えない。

……そして人の気配が遠ざかってすぐ、鬼でなければ一瞬で命を落としていたであろう熱風が鬼舞辻無惨を襲い、体を焼いては肉を弾けさせていく。

「貴様ら……何を」

意識が混濁しそうな中、次にもたらされたのは、覚えのある気配と腹への鋭い痛みだった。
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