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涼風の残響【鬼滅の刃】

第23章 閃光と氷


現に今も膝の上で握り締めている拳に力が入り震えていて、皆の知りたいことを話せない罪悪感で胸が満たされてしまっているのだと、誰が見ても分かる。

それでも表面上は平静を保つかのように表情は引き締めたままなので、皆も強く言えないまま時が過ぎているのだ。

しかしいつまでもこうしていても埒が明かないし……何より実弥の言う通り風音を精神的に追い詰めかねない。
それを危惧した者が、静まり返った部屋に溌剌とした声を響かせた。

「時透、君に俺たちの言葉を代弁させてすまなかった!きっと風音も俺たちの想いは気付いてくれている。だからこそ、今日はこのまま解散にしよう。心が落ち着かないのならば、俺の屋敷においで。有事に備え、作戦を共に練るのも悪くないぞ!」

「そうね!私もそう思うわ!それに風音ちゃんをこれ以上困らせたくないもの!ね、無一郎君、一緒に煉獄さんのところにおじゃましちゃいましょう!伊黒さんも皆もどうかしら?」

杏寿郎の誰一人として蔑ろにしない提案、それに同意した蜜璃。
そして渋々ながらも二人の言葉に同意を示し、気持ちを切り替え受け入れた無一郎は大きく頷いた。

「作戦を練るのはいいですね!俺、炭治郎の妹とかも気になるし、煉獄さんの屋敷に泊めてもらうよ!ごめんね、風音ちゃん。困らせてしまって……笑顔にしてあげたいのに、やっぱり不死川さんみたいに上手くいかないや」

「い、いえ!私こそ……皆さんの笑顔を奪ってしまう形になってしまって……申し訳ございません。あの、無一郎君。それに皆さん、決戦が終わりましたら、ぜひ遊びにいらして下さい!全力でおもてなししますので!……実弥君のお家だけど」

皆に視線を巡らせた後、最終地点である実弥をおずおずとみあげると、怒りはもちろん呆れすら皆無。
皆が驚くほどに、風音にとっては見とれるほどに穏やかな笑顔をしていた。

「前にも言ったろ。あそこはお前の家でもあるんだから、俺に遠慮する必要ねェよ。コイツら呼びてぇなら呼んで構わねぇし、もてなしてぇなら俺も手伝ってやる。戦終わったら夫婦になんだぜ?今のうちに慣れて……」

『えっ?!夫婦?!』
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