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涼風の残響【鬼滅の刃】

第22章 想いと約束


恥ずかしがらず男性へと実弥への大好きな感情を話し出してから随分時間が経過した頃……月が空に浮かんだ静かな夜。

実弥はスヤスヤと気持ちよさそうに眠る風音に膝を貸してやりながら、天元と酒を飲み交わしていた。

「嫁たちもあの人も……嬢ちゃんも寝ちまったな。それにしても嬢ちゃんの不死川への想いは相当なもんだ。聞いてるこっちのが恥ずかしくなっちまうくらい」

「いや……さすがに俺もあそこまでとは……てかお前の嫁たちも相当だろ?途中から俺らそっちのけで惚気大会始まってたじゃねェか。まァ、お前は顔もいいし嫁たちに優しいから、慕われる要素あるんだろうけどなァ」

風音が実弥をそこまで慕う気持ちが実弥には分からなかった。

『実弥君はとっても優しいんですよ!こっそり側に座っても怒らないし、何なら穏やかな笑顔を向けてくれるんです!頭を撫でたり頬を撫でてくれますし、簪も買ってくれました!悲しい時は必ず寄り添ってくれて、私のワガママにも嫌な顔一つしないんです!お顔も、ほら!すごくカッコイイ!』

これはほんの一部で、他にも実弥の大好きなところを永遠と嫁たちと張り合うように主張していたのだ。
それはそれは現在別室で体を休めている男性が赤面するくらい、とてつもない惚気が永遠と続いていた。

「気が付けば俺に怒鳴られてんのに、それは勘定に入れられてねェのか?」

本気で悩み首を傾げる実弥に天元は小さく笑いを零し、くしゃりと月光に照らされ銀色に輝く髪を乱暴に撫でた。

「分かってねぇなぁ!お前が無闇矢鱈と叱ってんじゃないって、嬢ちゃんはちゃんと分かってんだよ!健気で可愛いじゃないの。大切にしてやれよ、カッコイイ実弥君」

「テメッ……はァ。からかってんじゃねェよ。だが……悪ィ気はしねぇよな。好いた女がここまで自分を好いてくれんのは……失いたくねェ」

天元の手を振り払い、膝枕で眠る風音の頭をそっと撫でてやると、むにゃむにゃとよく分からない寝言を呟き、心做しかニヤけながら再び深い眠りに戻っていった。

「……そりゃあお前。こんだけ好かれて甘えられたら悪ぃ気なんてしねぇだろ。不死川の筋肉ガチガチの足の上ですら、気持ちよさそうに安心して眠るくらいだぜ?可愛いって思うの当たり前だし、失いたくねぇって思うのも当たり前だろ」
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