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涼風の残響【鬼滅の刃】

第22章 想いと約束


「だって私なら、自分の継子でもない後輩剣士の頸を斬るなんて、自ら名乗り出ることすら躊躇ってしまう。それを許可するのも……やっぱり辛く悲しいことでしょ?だからね、実弥君の優しさにも感謝してる。本音を言うと、頸斬ってもらうなら……実弥君がいいって思ってたから」

「俺は誰であっても即座に斬り落とすんだろうが……さすがに柱のヤツらは躊躇っちまうだろうなァ。お前なら尚のことだ」

そうならないように行冥とお館様、そして実弥と風音で話は進んでいる。
しかしそれも確実ではないので、どうしてもこの場の二人の空気は悲しいものになってしまった。

その空気のままいることは二人の望むことではない。
特に風音は実弥に重荷を背負わせてしまった分、安心してもらわなくてはと、振り返って笑顔を向けた。

「大丈夫、絶対誰も死なない。実弥君が悲しむ結末にはならないよ。その為にこうして無理言ってまで実弥君に同行させてもらってるんだから!そして天元さんのところにも連れてって貰うんだもん、絶対大丈夫だよ!」

根拠のない言葉であっても、開戦までにまだ時間はあり、多くの対策を講じることが出来る。
気持ちを切り替えた風音に笑みを返し、腕の中から解放して、風音の膝の上に置かれていた髪紐と簪を掬いとった。

「宇髄には出来るだけ早く協力仰いどかねェと。俺から連絡しといてやるよ。ほら、髪結ってやるから後ろ向いてくれ。邪魔しちまって悪かったなァ」

実弥は風音の肩を掴んで体をくるりと反転してやり、背でふわりと揺れた髪を掬い上げる。

すると今までの話や前に見せてもらった総力戦での光景が実弥の頭の中を巡り、この綺麗な髪が赤く染る様を思い出してしまった。

(らしくねェ……コイツが変に感じ取っちまう前に結い終わんねェと。……てか俺、いつの間に髪結うの出来るようになったんだァ?)

嬉しそうな雰囲気を存分に撒き散らしながら大人しくしている風音を前に色々と考えていたが、呑気に喜び全開な風音に感化されたのか、穏やかで緩やかな雰囲気に引っ張られた。

いつ髪結いが上達したのかを一人笑みを零しながら思い出していると、いつの間にか金の髪を彩る緑のリボンを携えた、綺麗な団子が出来上がっていた。
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