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涼風の残響【鬼滅の刃】

第22章 想いと約束


それをなんとなく感じ取ってくれたのか、少し悲しげな笑みを浮かべていたお館様も穏やかな笑顔となり、風音の疑問を解消してくれた。

「行冥は私の願いを聞き入れて、ここに来てくれたんだ。風音が心を痛めてしまったことを、既に行冥には話している。辛いことを一人きりで背負わせてしまっていたね。実弥とはきちんと仲直りできたかい?」

「そうだったのですね。元々は私が気を削いでしまったのが事の発端です。無意識とは言え、近くのお部屋にいらしたお館様の先を勝手に見てしまい、申し訳ございませんでした。実弥君とはすぐに仲直りしておりますので、どうか気に病まないで下さい」

どうやら実弥と少し揉めたこともお館様の耳に入っていたらしい。

あれだけ大きな声で実弥に噛み付いたのだから聞こえていたとしても不思議では無いのだが、ただでさえお身体の辛いお館様の気を揉むようなことをしてしまった当時の自分の頬を抓ってやりたくなった。

しかしどう足掻いても過去は変えられない。
変えられない代わりに頭を深く下げ、当時の不始末を詫びる。

「お騒がせしたこと、深く反省しております。改めまして……申し訳ございませんでした」

不甲斐ないやら恥ずかしいやらで涙目になりながら畳と睨めっこしていると、大きく暖かな手が風音の頭をポンと撫でてくれた。
それに反応して顔を上げると、やはり穏やかな表情をした行冥が頭を撫でてくれながら頷いた。

「柊木一人であのことを抱えていたのだ。取り乱すのも致し方あるまい。お館様も心配はされていたが、君を咎めようなどと考えておられなかった。さぁ、時間もあまりない、話を進めようか」

「お心遣い大変嬉しく思います。お館様、悲鳴嶼さん、ありがとうございます。では私が見た先とお館様が考えておられることに齟齬が生じていないかの確認を願います。その後、それがない場合は私の提案をお聞き……いただけると……嬉しいのですが……」

無駄に時間を消費するわけにはいかないので、行冥に促されるまま本題へと移行する。
それに異を唱えるこなく二人は大きく頷き返したのだが……後で後悔することとなった。

何分、二人は実際に風音の跳ねっ返りを身をもって経験していなかったから仕方がない。

実弥や共に任務に赴いた柱たちはこの場にいないので、誰も事前に首根っこを掴めなかったのだ。
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