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涼風の残響【鬼滅の刃】

第22章 想いと約束


蜜璃の痣が浮き出ている場所は胸元で形は鍔と似たような可愛らしい形。
実弥は右頬で風車を模した形。
風音は右前腕で風と葉を模した形。

それぞれの呼吸の属性を如実に表した痣は特殊な見た目だが、見ただけだと本当に特殊な形であると認識されるだけ。
しかし実際は剣士たちの力を何倍にも膨れ上がらせる不思議な痣で、その代償に命を大幅に削り取ってしまう莫大な力を秘めた畏怖さえ感じる痣である。

命に関してはしのぶによって解決されたかと思われているが、本当に解決したのかは誰にも分からない。
二十五の歳を迎えた時に初めてその効果が分かるので、発現者の誰もが死と隣り合わせの力を手に入れたことになる。

だが発現者の誰もが力を手に入れたことに後悔などなく、こうして日々鍛錬を続けているのだ。

そしてそれは痣の形に思いを馳せている風音も同じく。

「最近、痣が消えにくくなって来た。常時発現出来ていれば、ずっとこの力を発揮することが出来る……んだよね?あ!お疲れ様でした!」

どうすれば常時発現出来るのだろうかと考えていると、実弥が蜜璃の木刀を吹き飛ばしたことにより手合わせが終わりを迎えた。

風音は考えることを一時中断し、二人にすかさず走りよって鞄から手拭いを取りだし手渡した。

「あぁ、助かる。……ってお前何で泥だらけになってんだァ?転んじまったか?」

実弥に手渡した手拭いは風音の顔にふわりとあてられ、ついているであろう二人の手合わせによって襲いかかってきた砂埃を柔い力で拭いとっていく。

「これは実弥君と蜜璃ちゃんの手合わせの凄まじさを証明する汚れです。もうね、凄かったんだよ!実弥君が巻き上げた砂を蜜璃ちゃんが見事に弾き飛ばすの!」

口は動いているが大人しく実弥に身を委ねているのはいつも通り。
拭い取ることによって綺麗になった風音の頬を軽く摘み、痛くない程度の力でふにふにと動かしてみる。

「いや……砂かかんの分かってんなら少し離れて見とけよォ……目に入ったら危ねぇだろ」

「ごめんね!手合わせに夢中で気付かなかったわ!大丈夫?怪我はしていないかしら?」
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