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涼風の残響【鬼滅の刃】

第22章 想いと約束


「一緒に頑張ろうね。もし鬼の根城ではぐれても、必ず実弥君たちが戦ってるところに向かうから。絶対に生きて合流して、どんな手を使っても皆さんを死なせない」

風音は自身が命を落とす戦闘の脚色した未来を幾つも見ている。
会議でそれらも参考に策を練っているが、未だに死を回避するには至っていない。

そんな絶望的な中で人を励まそうとする風音の体を抱き締め直し、頬や全身に伝わる暖かさの有り難さを存分に噛み締める。

「はぐれる前提で話進めんなァ。何がなんでも俺から離れんじゃねェぞ。俺の目の前から消えてくれんな」

「……うん。頑張ってみる。たくさん未来はあるんだもん、実弥君とはぐれない道もあるよね。諦めずに実弥君の手を求め続けてみる」

つまり二人が見た未来では合流するまで離れ離れになっていたという事だ。
その間に受けた傷が後を引き、風音の死を招く要因の一つとなっている……と言うことは

「一つお前が生き残る道が開けてきたじゃねェか。ハハッ、塵屑共に一泡吹かせてやろうぜ。人間様のしぶとさ見せつけんぞ」

ピクリと嬉しそうに弾ませた風音の体を抱き締めたまま布団に誘い、苦しくない程度の体重を預けた。
すると頬に暖かく柔らかなものがそっとあてがわれてきた。

何がなど考えるまでもない。
実弥は頬にあてがわれたものを求めてそちらに向き直り、恥ずかしげに頬を赤く染める風音に微笑んだ。

「相変わらず二人ん時は積極的だなァ。あんま煽んな、抑えられなくなっちまっても知らねぇぞ」

何か言葉を返さなくては……と風音が唇を開けると、まるで後にしろと言うように唇で塞がれる。

何度も触れるだけの口付けをして風音の頬が真っ赤に染る頃を見計らい、深い口付けへと移行された。

積極的なクセに未だに口付けで体を熱くする風音に実弥は笑みを深め、暫くの間、柔らかな唇の感触と驚く程にどんどん熱くなる体温を堪能した。
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