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涼風の残響【鬼滅の刃】

第22章 想いと約束


いつかは動き出すと思っていたが、自身の行動が昼間まで制限されるほどの事態には陥らないと思っていた。
しかし鬼は総力戦に向けて、柱のみならず剣士たちの行動をも把握しようと動き出してしまった。

実弥が風音の姿を隠し自邸まで急ぎ戻ったのは、可能な限り風音の情報を鬼へと与えないため。
既にこの邸内にいると知られているかもしれないが、柱である実弥が目を光らせていると知れば、一人で風音が出歩くよりも襲われる可能性は僅かでも低くなる。

もちろん風音はそのことを十分理解しているし、自身の能力が鬼殺隊、鬼の双方に多大な影響を及ぼすのだと理解している。

しかし理解していても実弥や柱の皆、そして剣士たちに迷惑をかけると思うと胸が痛んだ。

「目玉……ねぇ、私はこのお家にいて大丈夫?あ、えっと!野宿するとかそんな無謀なことは言わないよ?!言わないけど……私がここに居続けることによって、実弥君や剣士の皆さんにご迷惑をかけるんじゃないかなって……」

返答一つで今すぐにでも飛び出しかねない風音を、実弥は義勇が目の前にいることも厭わず抱え上げて足の上に座らせ、小さな背にほんの少し体を預けた。

「あの……実弥君?どうしたの?」

「どうしたもこうしたもねェだろ。ったく、お前はすぐに余計な心配ばっかり勝手に作りやがる。風音の家はここだァ、ここに居りゃあいいんだよ」

そう言ってもらえて風音の心は暖かくなる。
暖かくはなるのだが、やはり心配事は尽きない。

自分が実弥のそばに居ることにより、実弥や稽古に来ている剣士たちに危険が及ぶのではないか。
ここで匿ってもらうことにより、柱たちにも不便を強いてしまうのではないか……などなど。

一人でモヤモヤと考えていようと、そんな考えなど実弥にはお見通し。
返事をしない風音の頬を後ろから軽くつねり、溜め息を零して義勇に視線を持っていく。

「今の流れで分かったと思うが、風音は俺ん家で大半を過ごさせる。他の奴らの家にも気晴らしに行かせてやりてぇけど、万が一鬼に奇襲されればコイツが気に病んじまうからなァ」

「……気に病む?鬼が来たとて、そこで頸を斬れば戦力を削げるのにか?」
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