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涼風の残響【鬼滅の刃】

第22章 想いと約束


「あ"ぁ"?!……玄弥ァ、よっぽど俺に扱かれてぇらしいなァ。昼飯食わずに俺に着いてきたことの意味……今すぐに分からしてやらァ!」

「え?!ちょっ……いてて!兄ちゃん?!ごめっ、悪かったって!」

いらない一言を付けてしまうのは風音と一緒。
そしてその一言を付け加えてしまったが故に厳しい稽古や鍛錬が更に厳しくなるのも風音と一緒だ。

今更後悔しても遅い言葉を発した玄弥は実弥に襟元を掴まれ、不死川邸へと続く道を引きずられることとなった。

「聞こえねェ!そう言えばお前は俺みたいになりてェんだよなァ!ちょうどいい、俺が普段してる鍛錬もつけてやる」

「柱と一緒の鍛錬?!ちょっと待ってって!兄ちゃん、落ち着い」

「こんにちは!うわぁ!玄弥、不死川さんと仲直り出来たんだね!よかったなぁ!」

玄弥が慌て実弥が怒っているところにやって来たのは炭治郎。
何を以て和やかな雰囲気だと感じ取ったのか実弥は知らない。
知らないが苛立っている今、鬼の妹と共に鬼殺隊で鬼狩りをしている炭治郎の存在が現れたことは苛立ちを増長させるだけ。

「うるせぇ、俺に話しかけんなぁ。俺は煉獄や風音みたいにお前らを認めてねェ!」

「俺も禰豆子を刺した不死川さんを認めていません!」

なんてことだ。
爽やかな笑顔で元気に紡がれた嘘偽りのない炭治郎の言葉は、実弥の全身の血が沸騰するのではと思うほどに怒りを加速させてしまった。

「いい度胸だァ……テメェもこの馬鹿と一緒に扱き倒してやる。俺に一太刀入れるまで解放されると……」

怒鳴っている途中で実弥の視線や意識が他の方向へと持っていかれ、玄弥を地面に放り出した手で低木の葉の間から何かを掴み取っていた。

「……兄ちゃん、それ何?」

実弥の手に握られていたのは潰され辛うじてしか原型の留めていない何か……
日の光に浴びせられ塵となり消えゆく目玉のような何かだった。

「何って……日に焼かれちまうモンなんて一つしかねェだろ……クソッ、お前ら俺の家に戻っとけ!寄り道すんなよ!」

日に焼かれて消えるものなど玄弥と炭治郎も一つしか知らない。
この非常事態に二人は走り去る実弥の言葉に異を唱えることなく、出された指示に従い不死川邸へと急いだ。
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