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涼風の残響【鬼滅の刃】

第22章 想いと約束


実弥が善逸を庭へ放り出し、義勇を適当な部屋に押し込め、風音と共に実弥の自室へとやって来たところで再び問題が勃発してしまった。

「用意してたおはぎがねェ!」

休憩の合間に風音と食べようとしていたおはぎが実弥の自室から綺麗さっぱり消え失せていたのだ。

宥める風音を振り切り犯人探しに乗り切った実弥だったが、おはぎを盗み食いした犯人は意外にも早く見つかることとなる。

「義勇さん。善逸さんと伊之助さんに対する実弥君のお稽古、すごく厳しいですね。伊之助さんにはおはぎを盗み食いされてしまったからですが、善逸さんは兄弟子や桑島さんのことが要因でしょうか?」

風音は無事に合流を果たした義勇と共に縁側から実弥の稽古を見学中。

そこには何度吹き飛ばされようが果敢にも挑んでいく伊之助、八つ当たり気味に扱かれている玄弥、悲鳴を上げながらも稽古を続ける善逸の姿。
見た感じでは善逸の様子は今までと変わらないので、まだ兄弟子が鬼になったことを知らないのかもしれない。

「……我妻の兄弟子が上弦の鬼になったという話か」

「はい。実弥君は私を弟子にして下さったので、何か思うところがあるのかなって」

風音と実弥が桑島の自刃を食い止め暫くして、楓と爽籟が鬼となった剣士の話を携えて二人の元に戻って来た。
その時点で鬼の件が知らされたのは柱のみ。

特に緘口令はしかれていないものの、鬼殺隊の士気に関わる問題なので誰も剣士たちには話していないはずだ。
稽古中にそういった話題が一般剣士から出ていないのが証拠だろう。

そんな中でも善逸は鬼となった獪岳の弟弟子なので知らされているかもしれない……と思っていたが、どうやら風音の感は外れたようである。

「俺には分からない。あ……」

色々と考え込み地面に視線を落としていたが、義勇の小さな驚く声に反応して稽古場を見遣ると、剣士たち全員が地に伏せている阿鼻叫喚な光景が風音の瞳いっぱいに映し出された。

「あらら……フフッ、今日のお稽古は終わりのようですね!義勇さん、お夕飯の準備をしますのでお部屋で寛いでぇっ?!」

待っていて下さい……

そう言おうと思ったのに、突然強い力で腕を引かれ変な声が出てしまった。
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