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涼風の残響【鬼滅の刃】

第21章 藤の花と全貌


杏寿郎や天元もこの表情をする風音に手を焼いたので、テコでも話すつもりがないと理解出来てしまった。

しかしまだ見せてもらっていない先は作戦を練る上で欠かせないもの。
どうしても実弥は引き下がることが出来なかった。

「風音、何で見せれねェかも」

「言えない。実弥君の願いでも言えない」

ここまで頑なになられると考えうる事態は絞られてくる。
だがそれは確証がなければ軽々しく口に出来る内容ではない。

「どれだけ重要な情報か分かってて黙ってる……ってことでいいんだよなァ?」

「はい。重要な情報だって分かってるけど言えない」

あくまで冷静に返してくる風音に実弥の全身の血が沸騰したかのように熱くなり、風音の腕を掴もうとして……その手を握り締め睨めつけるだけにとどめた。

「はいそうですか……って引き下がると思ってんのかよ?!」

「思ってない……思ってないけど言えない!言わなくちゃって分かってるけど、私の感情だけで言っていい内容じゃないんだよ!」

初めて自分だけに向けられた感情的な態度に実弥は面食らい、慌てて止めに入ってきた柱たちに引き摺られ部屋の端へ移動させられた。

風音は風音でしのぶや蜜璃に抱えられ、実弥とは反対側へと移動させられている。

「二人とも落ち着け!不死川の気持ちも分かるが、風音の気持ちも尊重してやらなくてはならない!君たちが仲違いしてしまっては意味が無いだろう?胡蝶、甘露寺。風音を別室で休ませてやってくれないか?」

今にも涙を流してしまいそうなほど瞳に涙を溜めた風音を二人はゆっくり立ち上がらせてやり、杏寿郎の言葉に頷き返して部屋を後にした。

「おい、不死川。何をしている、愚か者め。柊木を責めたとて何も解決しないと分かっているだろう。言えないのならばそれなりの理由があるからこそ。頭を冷やせ」

「どんなにお前に怒鳴られても声荒げなかった嬢ちゃんが荒げたんだぜ?反省しろ、馬鹿」

「女の子に凄んで泣かせるのはよくないよね」

「あの少女が声を荒らげるなど」

「……不死川が悪い」

「ふむ……互いに戸惑ったのだろうが」

叱責に実弥が小さくなる中、廊下からしのぶと蜜璃の声が響いてきた。

「「風音ちゃん!待って!」」

それと共に廊下を走る音も。
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