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涼風の残響【鬼滅の刃】

第21章 藤の花と全貌


「大丈夫ですよ。冨岡さんの痣は伊黒さんと勝負した時に既に発現していて、すぐに口の中にお薬を捩じ込みましたから」

「そうでしたか!安心しましたし、喜ばしいことですね!」

ホッと息をついた風音に微笑みながら頷き返したしのぶと共に、勝負真っ最中の二人に再び意識を戻す。

(あ、冨岡さんの口元に白い粉が……お薬かな?フフッ、失礼かもしれないけどちょっと可愛い!……それにしてもお二人共血管から血が吹き出しそう!大丈夫かな?)

痣者同士の勝負は凄まじく、握られた手から風と水が出現するのではと思うほどに白熱していた。



「見たかァ?!風音、冨岡の野郎に勝ったぜェ!」

という事で勝敗結果。

一位 不動の行冥
二位 杏寿郎
三位 実弥
四位 義勇
五位 天元
六位 無一郎
七位 蜜璃
八位 小芭内
九位 風音
十位 しのぶ

痣の発現した者は前回開催した腕相撲大会より順位を上げたりそのままだったり。

初参戦の風音の順位は悲しきかな九位だ。

「凄いね!実弥君三位だよ!」

という具合に風音は全く気にしていない模様。
自分の順位よりも実弥の順位が嬉しいらしく、手拭いを片手に喜び、今にもぴょんぴょん飛び跳ねそうな勢いである。

「悲鳴嶼さんは兎も角……煉獄に負けたのは悔しいが、宇髄にも冨岡にも勝ったから悪かねェ!で、その手拭いなんだァ?誰も汗かいてねェだろ?」

満足気に無邪気に喜ぶ実弥の手を取り何度も頷く風音は、実弥に言われて手拭いの存在を思い出した。

「実弥君も皆さんも笑顔で幸せです!これで一ヶ月は楽しい気持ちで過ごせそうだね!そうそう、この手拭いは冨岡さんに!」

「冨岡だァ?何で……冨岡に……ガキかよ」

呆れる実弥の手を満面の笑みのまま離し義勇の前に移動すると、それをそっと差し出した。

「冨岡さん、どうぞこれでお顔を拭いてください」

「?俺は汗をかいていない。渡すのならば不死川に渡せ。不死川がヤ……ーー?!」

ヤキモチをやいてしまうぞ……

危うく要らない言葉を発しそうになった義勇の口を、しのぶが風音から手拭いを物凄い速さで抜き取り抑え込む。

「冨岡さん、子供じゃないんですから口の周りに薬を付けないでください」

しのぶの機転にどうにか事なきを得て、腕相撲大会は穏やかに幕を閉じた。
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