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涼風の残響【鬼滅の刃】

第21章 藤の花と全貌


「宇髄!前回の雪辱を晴らさせてもらったぞ!」

「てめぇら痣は反則だろ!くそ……三位に陥落」

ニコニコと嬉しそうな杏寿郎とガクリと項垂れる天元。
未だによく理解はしていないものの、風音にとって楽しそうな催しには違いない。
蜜璃に促されるまま実弥の手を引っ張り、項垂れる天元の隣りにちょこんと腰を下ろした。

「ん?お!嬢ちゃん復活したのか!よしよし、兄ちゃん心配してたんだぞ?元気なったんなら早速腕相撲しようぜ!」

頭をポンポンと撫でられた風音は一度皆をクルリと見回して頭を深く下げた。

「お待たせしてしまって申し訳ありませんでした。すっかり元気になったので、会議が始まるまで私と実弥君を仲間に入れてください!腕相撲、してみたいです!」

元気になった風音の飛び入り参加表明を無下にする者など居るはずもなく、まずは誰が風音や実弥と勝負するのかを話し合った結果……

実弥の前には義勇、風音の前には無一郎が座した。

「恨みっこなしの一発勝負、相手の手を掴んでない方の手は足の上に置いとけよ!」

「俺の相手冨岡かよ……」

「よろしく頼む」

実弥はほんの少し不満げであっても義勇は心做しか嬉しそう。

「反対の手は足の上……時透さん!お手柔らかにお願いします!」

「こちらこそお手柔らかにね!でも負けないから!」

こちらは二人とも穏やかな笑顔で向き合って手を握っている。

それを確認した天元が上から下へと手を振り下ろした。

「ひぎっ?!」

一方の勝敗はすぐに決してしまった。
残念ながら風音の手は卓袱台に捩じ伏せられており、無一郎が慌てて卓袱台に押し付けた手をさすっている。

「ごめん!痛かった?!怪我してない?!」

「大丈夫です!驚いただけで痛みは全く!でも残念、負けちゃいました」

安心する無一郎と共に隣りの勝負に自然と意識が向いて、風音の顔が驚きで満たされた。

(あ、痣?!えっ?!冨岡さんも痣出てる!でも皆さん笑顔で見守ってるから……既に出てたのかな?!)

大声を出してしまえば勝負に水を差してしまう。
でも薬をまだ飲んでいないのであれば飲んでもらわなくてはと鞄に手を差し入れたところで、その手は小さく優しい手に止められた。
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